2020年、世界最高水準の安全・安心・楽しい機能を誇る車たち。
その中から、いま評判の「いい車」に試乗してみた。
今回は、ホンダ ヴェゼルと三菱 エクリプスクロスの2台を紹介する。
ペットや植木鉢も乗せやすい 広々とした荷室の小型SUV
ホンダ/ヴェゼル

発売から7年が経つものの、ホンダらしいスポーティな走りと躍動感のあるデザインは、いまだに古さを感じさせない。今回試乗したガソリンエンジン車の他にハイブリッド車も選べる。
原動機 ガソリンターボエンジン 全長×全幅×全高 4340×1790×1605mm ホイールベース 2610mm 車両重量 1360kg エンジン排気量 1496cc 乗車定員 5名 最高出力 172PS 最大トルク 22.4kg-m 燃料消費率 17.6㎞/L(JC08 モード) 燃料 ガソリン・50L 車両価格 295万6800円(税込み・ツーリング・ホンダ・センシング) 問い合わせ:ホンダ 0120・112・010
【歴史】CR-V 1995~2001年

街中で使いやすいSUVの先駆け。現行型は大型化し、車体の小ささはヴェゼルが受け継いでいる。
約1年前に登場したヴェゼルの「ツーリング・ホンダ・センシング」仕様は、力強いターボエンジンを搭載し、それにあわせて車体強度も強化している。乗ってみると、スポーツカーのような胸のすく加速が味わえる。高速道路の合流や山道のきつい上り坂など、しっかり加速したいときに、その気持ちと車の動きが乖離することなく軽やかに走る。速い車は騒々しい、という印象を抱きがちだが、遮音対策は万全。アクセルペダルを多めに踏み込んでも、エンジンの騒音が気にならない。
車名にある「ホンダ・センシング」とは、ホンダが開発した安全技術のシステム名だ。自動ブレーキ、前照灯のハイ/ロー自動切り替え、ペダル踏み間違いによる誤発進抑制機能のほか、歩行者にぶつかりそうなときに、警告音と表示に加えて車道方向に操舵を支援する機能も搭載されている。加速がいい車だけに、しっかりと守られているという安心感が嬉しい。
特筆すべきは後席で、背もたれを前にたためるほか、座面をはね上げて足元を荷室化することもできる。ケージに入れたペットや植木鉢などを、目の届く場所に置いておきたいというときに役立つ。

ダッシュボードは運転席側に角度が付き操作しやすい。クルーズコントロール(車速・車間維持装置)搭載だが、夜間は使用できなかった。

後方視界を映し出すモニターにはガイドラインが表示され、縦列駐車も簡単にできる。

さらに真上からの画像で、後ろの車両との正確な距離も確認できる。

荷室の左右は最大93cm。奥行きは67cm、後席を倒すと奥行き124cmのフラットな床に。荷室高は82cm。

ターボエンジンは高出力の172PS仕様。最大トルクを低回転で発揮し、街中でも使いやすい。
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4WDの老舗が仕上げた小型ディーゼルSUV
三菱/エクリプスクロス

「クーペSUV」とメーカーが呼ぶスタイリッシュな小型SUV。三菱が得意とする4WDは、道路状況に合わせて「オート」「スノー」「グラベル」(砂利道)の設定を選べる。
原動機 ディーゼルターボエンジン 全長×全幅×全高 4405×1805×1685mm ホイールベース 2670mm 車両重量 1680kg エンジン排気量 2267cc 乗車定員 5名 最高出力 145PS 最大トルク 38.7kg-m 燃料消費率 14.2㎞/L(WLTC モード) 燃料 軽油・60L 車両価格 506万5000円(税込み・G Plus Package) 問い合わせ:三菱自動車 0120・324・860
【歴史】パジェロイオ 1998〜2007年歴

パジェロを小さくしたデザインと優れたオフロード性能で人気に。街乗りも楽しめる小型SUVのルーツ。
三菱自動車は、4WD機構を軸に林道などの不整地や雪道、悪路を走行できる車作りを得意としてきた。三菱が誇るパジェロやアウトランダーは、都市から砂漠、高山まで世界中で活躍している。
そんな老舗が作った最新SUVが、エクリプスクロスである。まず、そのスポーツカーのような姿に目を惹かれる。外観からは後席や荷室が狭そうに見えるが、乗ってみると、思いのほか広い(ただし窓は小さめ)。荷室も広く、買い物から、ペット同伴の長期の旅行まで多目的に使いやすい。
2017年には欧州の自動車アセスメント「Euro NCAP」で最高位の評価(5つ星)を獲得。安全性もお墨付きだ。
ディーゼルエンジンを搭載しているため、低速時から力があり、加速もじつに滑らか。ディーゼル特有の音はやや気になるものの振動は抑えられている。高速道路でも、ごく低回転で走れるので、長時間の運転でも快適だった。
雪道を走ってみると、滑りだしてから慌ててハンドルを切っても、緻密な駆動制御技術のおかげでタイヤがしっかりと雪をつかむ。洗練された新時代の4WDは、いざというときにも心強い。

室内は落ち着いた雰囲気。試乗した車は、スマートフォン連携ディスプレイオーディオを標準装備していた。

後席は前後に200mmスライドし、背もたれの角度調整もできる。足元のゆとりもまずまずで、窮屈な感じはない。

荷室の左右は100cmで、奥行きは70cm、後席を倒すと130cmの長尺物を積める。床から天井までの高さは80cm。

発売当初はガソリンエンジンのみだったが、昨年ディーゼル車が登場。強力なトルクと滑らかなフィーリングで遠出も楽にこなす。
※この記事は『サライ』本誌2020年3月号より転載しました。(取材・文/櫻井 香、佐藤篤司、石川真禧照 撮影/尾形和美、小池義弘、篠原晃一、萩原文博、佐藤靖彦)
