
マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」が、ビジネスの最前線の用語や問題を解説するシリーズ。今回は、組織を成長させるための評価制度について考察します。
はじめに
どんなに店主が汗水垂らして「頑張って」10時間かけてスープを作っても、出されたラーメンが美味しくなければ、お客はお金を出すのが惜しい気持ちになるはずです。そして、不味いという結果をそのままにしていれば、ラーメン店の来客は減っていき、店が運営できなくなるでしょう。「頑張った」は、プロの世界では何の評価にもならないのです。
しかし、会社組織では「結果は出なかったけど、頑張っていたから」というプロセス評価が横行しています。「部下の頑張りを評価したいが、不公平感が出てしまう」「プロセスを重視しすぎて生産性が上がらない」といった悩みを抱える経営者や管理職の方は少なくありません。情に流される評価は、時として組織の成長を阻害する要因となります。
本記事では、経過を一切排除し「結果」のみで評価する4つのメリットを詳述します。この記事を読むことで、組織の透明性を高め、社員の自立性を引き出すための参考になれば幸いです。
メリット1:評価の客観性が高まり不公平感が解消される
組織において最も避けなければならないのは、評価に対する「不信感」です。人間が人間の「頑張り」を評価しようとすると、どうしても主観や好みが入り込みます。「遅くまで残っているから努力している」「上司への報告が丁寧だから熱心だ」といった印象論は、必ずしも企業の利益に直結しません。それどころか、声の大きい社員やパフォーマンスが得意な社員が優遇され、黙々と成果を出す社員が正当に評価されないという歪みを生みます。
評価基準を「結果のみ」に絞り込むことは、評価から主観を排除し、誰もが納得できる「共通言語」を導入することを意味します。売上高、新規顧客獲得数、プロジェクトの完遂率、あるいは削減コストといった定量的な数値は、誰の目にも明らかな事実です。評価者のバイアスが入り込む余地がないため、社員は「なぜあの人が評価されるのか」という疑念を抱くことがなくなります。この透明性こそが、組織内の心理的安全性を高め、健全な競争意識を育む土台となるのです。
また、リモートワークが普及した現代において、上司が部下の「経過」をすべて把握することは物理的に不可能です。見えない場所での頑張りを推測で評価することは、かえって不公平を助長します。物理的な距離があるからこそ、目に見える成果だけで評価する仕組みは、今の時代に最も即した公平なシステムと言えるでしょう。
メリット2:社員が自ら考えて行動する
プロセス(経過)を評価対象にするということは、暗黙のうちに「上司が想定する正解の動き方」を部下に強いることにつながります。部下は評価を得るために、上司の顔色を伺い、前例を踏襲した無難な動きを選択しがちです。これでは、変化の激しい市場で戦い抜くためのイノベーションは生まれません。
結果のみを評価する組織では、その過程における「やり方」は完全に社員の裁量に委ねられます。「目標を達成できるのであれば、どのような手段を講じても良い」という環境は、社員に強力なオーナーシップ(当事者意識)を与えます。彼らは自らの頭で考え、既存の枠組みに囚われない新しい手法や、より効率的なアプローチを自発的に模索し始めます。
ただし、会社または上司として譲れない部分があるのであればルールにすればよいのです。ルールの範囲内で自分のやり方を考えさせて実行させるようにしましょう。
上司がいちいち指示を出さなくても、個々の社員が成果に向けて最短距離を走るようになるため、組織全体のスピード感が劇的に向上します。経過を問わないことは、社員のプロフェッショナリズムを信頼することと同義であり、その信頼が社員のモチベーションをさらに引き出すという好循環を生み出します。
メリット3:生産性が向上する
日本企業の多くが抱える課題に、「長時間労働=頑張っている」という根深い意識があります。経過や姿勢を評価項目に入れてしまうと、本来は効率化して早く帰るべき優秀な社員よりも、効率が悪く長時間会社に残っている社員の方が「熱心に頑張っている」と誤認されるリスクが生じます。これが、組織全体に「早く帰りづらい雰囲気」や「ダラダラ残業」を蔓延させる原因となります。
結果のみを評価の軸に据えると、評価の尺度は「時間」から「価値」へとシフトします。「いかに短い時間で、高い成果を出したか」が最も称賛される文化が醸成されるため、社員はタイムマネジメントを徹底し、付加価値の低い業務を大胆に削減するようになります。無駄な会議、過剰な資料作成、慣習的な報告業務などが削ぎ落とされ、真に利益を生む活動にリソースが集中します。
結果として、組織全体の生産性は飛躍的に向上し、同時に社員のワーク・ライフ・バランスも改善されます。「成果さえ出せば自由」という明確なルールは、優秀な人材にとって非常に魅力的な環境であり、リクルーティングや離職防止の観点からも極めて有効な戦略となります。
メリット4:目標を達成する確率を上げる
「頑張ったけれど、運が悪くて達成できませんでした」という言い訳が通用する組織は、結果が悪くても仕方がない、なんとか頑張った姿を見せようという思考になってきます。
プロセスの評価は、未達成の際の「免責」になりかねないからです。しかし、企業が厳しい競争を勝ち抜くためには、最後には「結果」という形で実を結ばなければなりません。市場は会社のことを「結果」でしか評価してくれないからです。ドライだと思われても会社や社員の成長のためには「結果」のみで評価しなければいけないのです。
評価を結果に一点集中させることは、組織全体に「何が何でも目標を達成する」という強いコミットメントを植え付けることになります。この執着心こそが、困難な状況に直面した際の突破力となります。社員は「プロセスが正しかったかどうか」で満足することなく、「どうすれば結果を変えられるか」という一点にエネルギーを注ぎ込みます。
この「結果へのこだわり」が文化として定着した組織は、非常に強固です。一人ひとりが自分の数字やミッションに対してプロとしての責任を持つようになり、その個々の力の結集が、組織としての大きな目標達成へと導きます。「頑張り」という曖昧な言葉に逃げず、厳しい現実と向き合い続ける姿勢が、企業の長期的な成長を支える柱となるのです。
ただし、結果を評価するにあたり注意しなければいけない点があります。
未達だった時に感情的に怒ってしまったり、「やる気がないな」などの曖昧な表現で個人を責めたりすることはお勧めしまん。結果に対して何が不足しているのか、次に良い結果を出すために何を変えなければいけないのかを明確にして、次のスタートを切ることが重要です。
「結果」だけの評価自体はメリットがあることですが、「結果」が悪かった時に感情的に責められるという文化になると社員が委縮して、メリットがデメリットに変化することがあるので注意しましょう。
識学総研:https://souken.shikigaku.jp
株式会社識学:https://corp.shikigaku.jp/











