文/川口陽海
椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、坐骨神経痛などで、お尻から脚の外側にかけて痛みやしびれがおこることがあります。
座っていれば大丈夫でも、歩くと痛みやしびれが増してきて歩けなくなる…。
ひどい場合は横になって寝ることもできず、椅子で寝ている…、というような方もいらっしゃいます。
薬やブロック注射も効かないような痛みは、本当につらいですよね。
そんな症状に、筋膜リリースやストレッチが効果があるかもしれません。
とくに脚の外側の痛みやしびれに効果的なのが、『ITバンド』の筋膜リリースです。
すぐには効果があらわれないかもしれませんが、数日から数週間取り組むことで、少しずつ症状が改善するケースがあります。
ITバンドとは腸脛靭帯のこと
『ITバンド』とは、”Iliotibial band”または”Iliotibial ligament”のことで、日本語では「腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)」と言います。
下の図は、右の太ももを後ろから見た図ですが、細長く赤丸で囲まれた白い部分が『ITバンド=腸脛靭帯』です。
お尻(股関節)から膝にかけて、太ももの外側を走る大きな靭帯です。
『ITバンド=腸脛靭帯』は、大腿四頭筋の筋膜の一部が厚くなった靭帯で、大腿筋膜張筋、大腿四頭筋、大殿筋、中殿筋、小殿筋、大腿二頭筋(ハムストリング)など、多くの筋肉とつながっています。
ITバンド・腸脛靭帯の緊張が痛みやしびれをおこすことがある
様々な原因でこの『ITバンド=腸脛靭帯』が固くなると、腰痛や坐骨神経痛、膝痛などの原因となることがあります。
この靭帯が緊張し固くなると、接続している周囲の筋肉も緊張させてしまい、以下の図のような痛みを引き起こしてしまうのです。
【大腿筋膜張筋】
【中殿筋】
【小殿筋】
【大腿二頭筋(ハムストリング)】
もしあなたが、これらの図の赤い範囲のように、お尻から脚の外側や裏側あたりに痛みやしびれなどの症状があるのなら、『ITバンド=腸脛靭帯』の筋膜リリースやストレッチをおこなうことで、症状が改善するかもしれません。
ITバンド・腸脛靭帯の筋膜リリースとストレッチ
『ITバンド』は、大腿四頭筋の筋膜が厚くなった靭帯です。
したがって筋膜リリースをおこなったり、ストレッチしたりすることで、固くなったこの靭帯をゆるめることができます。
一番良いのは、専門的な技術を持ったプロに施術をおこなってもらうことでしょう。
しかし自分自身で筋膜リリースをおこなうこともできます。
筆者の腰痛トレーニング研究所では、次のような方法をおすすめしています。
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