取材・文/北吉洋一 撮影/宮地 工

千葉県船橋市でまぐろ料理を中心にした居酒屋『炊屋(かしきや)』を経営する斎藤健次さんは、元まぐろ漁船のコック長だ。若き日にまぐろ漁船に乗り込み1770日の航海を体験している。斎藤さんが乗ったのは高知の遠洋漁業まぐろ延縄漁船。ミナミマグロを追って主に南半球を操業した。このときの乗船経験を『まぐろ土佐船』という本に上梓し、第7回小学館ノンフィクション大賞を受賞している。

そんな斎藤さんにまぐろ漁船流の、豪快なまぐろ料理を伝授してもらおう。

※この記事は『サライ』本誌2016年12月号の特集「旨きは“まぐろ”を畢竟とす」より一部転載しました。年齢・肩書き等の情報は取材時のものです。(取材・文/北吉洋一 撮影/宮地 工)

斎藤健次さん/昭和22年、東京生まれ。昭和51年、まぐろ漁船に乗り込むために高知に赴く。以来、3度の遠洋航海を経験する。昭和59年、現在地にまぐろ料理店を開く。まぐろ漁船の体験を描いた『まぐろ土佐船』で第7回小学館ノンフィクション大賞を受賞。

■まずは基本――サクの見方と刺身の切り方

まぐろのサクを見る場合は、色と形だ。鮮やかな赤色で、正確な四角形をしているものがよい。台形になっているのは尾に近い部分で、噛か み切れない筋がある場合がある。また表面がなめらかで、血の塊などがついていないこと、筋の入りが均等なことも目安になる。

パックされているサクは赤い水分(ドリップ)が出ていないか確認しよう。新鮮なまぐろのサクならドリップはほとんど出ない。半解凍のものがあればそれを選ぶようにしたい。

●赤身は右から平切りに
まぐろのサクを切る前にまな板の下に濡らして絞った布巾を敷くと、まな板が安定する。また切る前に手を水で冷やしておくとまぐろの味がおちない。赤身は右側から少し厚めに切る。

●中トロは左からそぎ切りに
中トロや大トロなど脂の強い部位はサクの左側から薄くそぎ切りにする。この部分は筋が多いので、筋を断ち切るように斜めに包丁を入れる。切り身を手で押さえて引くように切る。

ではいよいよ、このまぐろを使った料理をご紹介していこう。

■1:まぐろステーキ
――まわりだけ火を通し中は生に仕上げる

まぐろ1サクをバターで焼いて、ステーキにしようという贅沢な料理だ。まぐろは程よく脂の乗った中トロがお薦め。焼くといっても両面に焼き目がつく程度にし、バターと白ワインの風味をからませる。レモンを絞ってもいい。

焼き方は超レアが原則。バターと白ワインの風味が相まって、刺身とは全く違った味わいになる。冷えた辛口の白ワインと相性がよい。もちろん吟醸酒を合わせても美味しい。

【材料(2~3人前)】
まぐろ中トロ・・・1サク
舞茸・・・80g程度
バター・・・30g
白ワイン・・・50㏄
塩・・・適量
胡椒・・・適量
醬油・・・適宜

【作り方】

(1) フライパンを熱し、バター15gを入れ溶かす。バターが溶けたところで、まぐろを入れ、両面に焼き色がつく程度まで焼く。

(2)まぐろを取り出したフライパンにバター10gを入れ、ほぐした舞茸を炒める。炒めながら塩、胡椒を振り、最後に白ワインとバター5g、醬油で味を調える。

(3)焼いたまぐろを平切りにして、(2)の舞茸ソースを添える。

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