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極上まぐろが食べられる港町の名店3つ

旨いまぐろを食べるには、漁の盛んな港町を訪れるのがいちばん。水揚げされたばかりの見事なまぐろが待っている。そんな“極上まぐろ”に出会える3つの港町(焼津、清水、那智勝浦)で、それぞれ活きのいい極上まぐろが味わえる店を紹介しよう。

※この記事は『サライ』本誌2016年12月号の特集「旨きは“まぐろ”を畢竟とす」より一部転載しました。年齢・肩書き等の情報は取材時のものです。(取材・文/北吉洋一 撮影/宮地 工)

■1軒目:鮪の御宿石上(静岡・焼津港)

まぐろの水揚げ日本一を誇る静岡県、その主な水揚げ漁港が焼津港だ。

港にほど近い、駿河湾沿いの大崩海岸に立つ『鮪の御宿石上』は、その名の通り、絶品まぐろを堪能し尽くす宿。館内随所に季節の草花が飾られ、磨き上げられて美しい艶を放つ檜の床が心地いい。

夕食の「南鮪づくし」会席は、刺身はもちろん、毎日注ぎ足したタレで、3時間煮込んだカマの煮付け、西京酢味噌和え、目玉周辺のゼラチン質が独特の食感の目玉の煮付けなどが並ぶ。

左奥から時計回りに、カマの煮付け、目玉の煮付け、胡麻和え、炙あぶり、西京酢味噌和え、お造りは赤身、大トロ、中トロ(2人前)。すべて焼津直送のミナミマグロを使う。朝食にはまぐろの中落ち、まぐろのスペアリブ照り焼きも付く。

特別注文の「鮪のかぶと焼き」は、その姿に圧倒される料理。特注品の鍋で3時間ほど酒蒸しにすることで、見た目の印象とは異なり、さっぱりと癖のない味に仕上げている。

特別注文のかぶと焼きは大根おろしとポン酢でいただく。写真のもので、6~8人前(1万円)という量だが、箸が止まらなくなる。

「お客様がこのかぶと焼きを召し上がりたいと、お仲間を連れて再度来てくださいます」と、女将の石上智子さん(57歳)。舌の肥えたまぐろ好きを唸らせている。

隅々まで掃除が行き届いた客室。

【鮪の御宿石上】
静岡県焼津市小浜1047
電話:054・627・1636
料金:1泊2食付きひとり1万9800円(税・サービス料込み)~
チェックイン15時、チェックアウト10時 6室。
交通:JR東海道本線用宗駅から車で約10分

■2:末廣鮨(静岡・清水港)

冷凍まぐろに関しては日本一の水揚げ量を誇るのが清水港である。そして、清水の鮨屋といえば、筆頭に挙がるのが『末廣鮨』である。

包丁を握って60年という主人・望月榮次さん(75歳)が供する鮨を求めて、県外からも多くの美食家が集う。料亭のような店構えの玄関の戸を開けると、人懐こい笑顔の望月さんが迎えてくれた。

部位ごとに切り分ける望月さん。包丁を入れる音が美しい。25歳で独立、開業。近年は台湾で鮨職人の指導に当たる。

ミナミマグロの握り、左上から時計回りに中トロ、腹側の大トロ、大トロの霜降り、赤身、背トロ、はがし。赤身は1貫200円、それ以外は1200円。背トロは背中の真ん中で、きめ細かい脂が美味。

「ミナミマグロはクロマグロに比べて酸味が少なく甘みが強いので、鮨に向いているまぐろだと思います。店では、100kgほどのミナミマグロを築地市場に出荷される前に一本買いし、冷凍庫で保管し慎重に解凍します。冷凍まぐろの良さは、いつでもお客様に最良のものをご提供できることですね。鮮度は生と変わらないですよ」(望月さん)

望月さんの技が光る「はがし」をいただく。背中側のトロ部分の筋を取ったものだ。

背中側のトロ部分を筋に沿って、毛抜きではがしていく「はがし」の作業。この後、包丁で筋を取る。

はがしは、ねっとりと蕩けるような甘みがあり、じつに上品。筋も焼いて、その野性味を楽しめる。まぐろ王国の力量が実感できる名店である。

【末廣鮨】
静岡市清水区江尻東2-5-28
電話:054・366・6083 営業時間:11時30分~22時 定休日:水曜 75席。要予約。
交通:JR東海道本線清水駅から徒歩約8分

■3:ますだや(和歌山・那智勝浦)

紀伊半島の南端に位置する那智勝浦は古くからまぐろ漁が盛んで、「まぐろの町勝浦」として名を馳せてきた。ところが近年はまぐろ漁が振るわず、現時点で勝浦漁協に所属するまぐろ漁船はなくなってしまった。その代わりというのも語弊があるが、那智勝浦には日本近海で操業する各県のまぐろ漁船が集まり、競りが行なわれる。つまり、那智勝浦は母港から集積地へと機能を移したのである。

漁港のすぐ前にある『ますだや』は生まぐろしか扱わない料理屋。刺身は赤身がお薦めだ。主人によるとまぐろは冬こそ旬だそうな。刺身の他、ユッケ、春巻きなどひと手間かけた料理も美味しい。

手前まぐろのユッケ830円。赤身をコチジャン、酒、醬油、ニンニク等で味付けしている。ユッケ丼もある。奥は生まぐろの刺身。写真はキハダマグロで2人前2400円。生まぐろ刺身は時価で、1人前1200円前後が目安だ。

生まぐろの春巻1080円。赤身を叩いて、チーズと共に春巻の皮で巻き、さっと揚げる。まぐろとチーズの相性がいい。

【ますだや】
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町大字築地5丁目2-14
電話:0735・52・7466 営業時間:11時~14時、16時~21時
定休日:不定 30席。
勝浦漁港へはJR紀勢本線紀伊勝浦駅から徒歩約5分。『ますだや』へは徒歩約3分。

以上、“極上まぐろ”に出会える3つの港町で、活きのいいマグロが味わえる店を紹介した。ぜひ現地に味わいに出かけていただきたい。

※この記事は『サライ』本誌2016年12月号の特集「旨きは“まぐろ”を畢竟とす」より一部転載しました。年齢・肩書き等の情報は取材時のものです。(取材・文/北吉洋一 撮影/宮地 工)

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