まぐろ好きなら巡礼したい!極上まぐろを満喫できる日本の3つの港町

いうまでもなく、まぐろは日本人にとっての“ご馳走魚”。さまざまな食べ方が考案され、江戸前鮨では最高のネタとして親しまれている。しかし、旨いまぐろを食べたいのなら、漁の盛んな港町を訪れるのがいちばんだ。

そこで今回は、発売中の『サライ』12月号の「極上まぐろを求めて港町へ」記事より、極上のまぐろを堪能できる3つの港町をご紹介しよう。

■1:焼津・清水(静岡県)

清水港で魚介類を扱う江尻埠頭地区。(撮影/藤田修平)

清水港で魚介類を扱う江尻埠頭地区(撮影/藤田修平)

静岡県の、平成26年の漁獲量は約2万8000t。まぐろの水揚げ日本一といわれるだけあって、全国の約15%を占めている。なお、静岡県で水揚げされるまぐろの大半は、遠泳の延縄(はえなわ)漁船による冷凍まぐろだ。

焼津港は、鰹やまぐろを軸とする遠洋漁業の基地として発展した港である。焼津で揚がるミナミマグロは、「焼津ミナミマグロ」として静岡県に認定される特産品。アフリカのケープ沖やオーストラリアのシドニー沖など、南半球の低水温海域を回遊している。

延縄漁法で漁獲したミナミマグロは、傷がつかないように慎重に甲板に挙げられ、すぐに活け締め、血抜き、内臓除去を施した後、マイナス60℃の超低温で急速冷凍、保管される。こうした熟練の洗浄処理が、旨さの秘訣だというわけだ。

焼津漁港水揚げのまぐろを購入できる、漁協直営の「ヤイヅナコープ」

焼津漁港水揚げのまぐろを購入できる、漁協直営の「ヤイヅナコープ」(撮影/藤田修平)

対する清水港は、冷凍まぐろに関しては日本一の水揚げ量を誇る。清水港の場合、商社や水産会社などの大手買い付け業者が漁船と提携し、水揚げするまぐろをまるごと買いつける「一船買い」。加えて、洋上で漁船から大型の冷凍運搬船に積み替えられた冷凍まぐろも搬入される。

清水とまぐろの関係が深まったのは、ツナ缶(まぐろの油漬け缶詰)の製品化が成功した戦前のこと。戦後は交通網が整備され、港周辺に優れた冷凍保存技術を備えた施設が増加。さらにマイナス60℃という技術が品質を高めることになり、日本有数のまぐろ基地となったのである。

■2:戸井(北海道・函館)

穏やかな表情を見せる戸井漁港(撮影/宮地工)

穏やかな表情を見せる戸井漁港(撮影/宮地工)

目前に本州最北端を見る地に位置するのが、函館の戸井釜谷(といかまや)漁港。漁場の中心となる汐首岬では、日本海を北上してきた黒潮と、ベーリング海を南下してくる黒潮が交わる。暖流と寒流が入り混じるこの海域こそがクロマグロの好餌場であるため、多くのまぐろ漁船が行き交うのだ。

戸井のまぐろ漁の漁期は、7月から翌1月末まで。地元の漁師によれば、海水の温度が下がる晩秋から冬のクロマグロは脂乗りがいいそうだ。しかも戸井のクロマグロの漁獲量は、昨年は40tに満たなかったというほど少なく、つまりは貴重品である。

また、クロマグロを丁寧に扱うのも戸井の特徴。漁船から陸揚げする際にも、尾にワイヤーを結んで吊るすようなことはせず、一匹ごとに布で巻き、抱くように運ぶのである。

船上で鰓(えら)と神経を抜かれたまぐろは、港で内臓を抜かれ、ひれが切り取られ、尾が叩き切られる。この尾の断面から、肉質を判断するのだ。そして再度神経を抜くのだが、こうすることでまぐろの動きが完全に止まり、魚体の鮮度型の垂れるのである。

函館駅近くの居酒屋「戸井マグロ第八十八 大漁丸」の「戸井マグロのづけ丼」と「赤身刺し」

函館駅近くの居酒屋「戸井マグロ第八十八 大漁丸」の「戸井マグロのづけ丼」と「赤身刺し」

■3:那智勝浦(和歌山県)

夜明けとともに、氷温で冷水保存された生まぐろが港に降ろされる。(撮影/宮地工)

夜明けとともに、氷温で冷水保存された生まぐろが港に降ろされる。(撮影/宮地工)

紀伊半島南端の那智勝浦は、古くから「まぐろの町勝浦」として名を馳せてきた。ところが近年はまぐろ漁が振るわず、現時点で勝浦漁港に所属するまぐろ漁船は無くなっている。

その代わりというわけではないが、現在は日本近海で操業する各県のまぐろ漁船が集まり、競りが行われる。母港から、生まぐろの集積地へと機能を移したのである。接岸するまぐろ漁船は、北海道から沖縄まで全国の港に属する船で、大きさも10t級から100t級と多様。一年を通して約1700艘が入港し、年間の水揚げ量は1万t前後にまで及ぶ。

船の所属や大きさは異なるものの、共通しているのは延縄漁法でまぐろを獲り、船内で活け締めにして冷水保存の状態で水に揚げること。那智勝浦は、あくまで生まぐろを扱うのだ。

漁港のすぐ前にある料理屋「ますだや」の、「まぐろのユッケ」と「生まぐろの刺身」(撮影/宮地工)

漁港のすぐ前にある料理屋「ますだや」の、「まぐろのユッケ」と「生まぐろの刺身」(撮影/宮地工)

以上、まぐろ好きなら必訪の、極上まぐろを満喫できる3つの港町をご紹介した。

『サライ』12月号の「極上まぐろを求めて港町へ」記事では、まぐろの拠点というべきこれら3漁港を訪ね、絶品まぐろを堪能し尽くせる料理店や宿も紹介している。極上のまぐろ体験を求めて、目を通してみてはいかがだろうか。

※この記事は『サライ』2016年12月号掲載の上記記事(取材・文/関屋淳子、北吉洋一)の内容を元に、Web用に再構成したものです。(Web版構成/印南敦史)

【関連リンク】

※ サライ12月号の大特集は「まぐろ」!名店で味わう至福のひと皿や、まぐろ漁船の元・料理長が指南する秘伝の献立も紹介しています。

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