「倭(やまと)し麗(うるわ)し」と称賛された奈良には、「うまし」ものが満ちている。悠久の古都を散策した後は、この地に所縁(ゆかり)の食材をふんだんに用いた美味を堪能したい。

野菜もピッツァも窯焼きで供する、奥深い味わいのイタリアン

昼の「ピッツァコース」4400円は、前菜、スープ、焼き野菜とピッツァ。手前は、サラミ、オリーブ、ケイパーとモッツァレラ。奥は、奈良のいちじくとゴルゴンゾーラのピッツァ。
薪のみを使用して火入れする、昔ながらのレンガ製の窯で焼く。

歴史的建造物が集まる「きたまち」界隈にある『OCU(オク)』は、ビル横の路地を入った隠れ家的な店。店名には「素材の奥深さを引き出す」意味合いを込めた。

「空き家だった妻の曾祖母の家を改装し店舗にしました」と話すのは、店主の照山智也さん。料理修業で訪れたフィレンツェで妻の美也子さんと出会い、結婚を機に帰国して、令和5年に自店を開いた。開業にあたって決めていたのが、薪火料理を主役にすること。イタリア製の大きな窯を厨房の中央に据え、魚や肉、野菜など奈良とイタリアの食材を調理する。

大和野菜もふんだんに

昼、夜ともに供される「焼き野菜」。この日は、大和丸茄子、栗南瓜、とうや(じゃがいも)、淡路の玉ねぎ、奈良産の椎茸、万願寺唐辛子 。

「ピッツァは高温の薪火、肉は熾火(おきび)でじっくり焼く。火力や火種を変えてドーム状の窯で焼くことで、水分や旨味を逃がさずそれぞれの個性も生かせます」と言う。

なかでも、昼のコースで味わえるピッツァは、自家製のビール酵母を使った自慢の品。耳はふっくらと香ばしく、生地はもちもちに仕上がるのが特徴だ。照山さんが「歯ごたえや風味も豊か」という大和野菜も具材として用いられるから、その味わいに惹かれ季節ごとに訪れる人が増えている。

OCU

照山さんは、茨城県出身。東京のローマ料理店に勤めた後、フィレンツェ、キャンティ、ピエモンテなど各地で郷土料理を学んだ。

奈良市高天町38-6
電話:080・8307・5153
営業時間:12時~14時、16時~19時 要予約
定休日:不定
交通:近鉄奈良駅下車、徒歩約3分

取材・文/中井シノブ 撮影/伊藤 信、大道雪代

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