新世代の造り手が生み出す本格焼酎に惚れ込み、新たな酒と料理の楽しみを提案する酒場が今、熱い。東京、愛知、大阪、鹿児島で出会った珠玉の一軒へ。
銘柄は“おまかせ”で楽しむ中部地方の焼酎の聖地

栄と金山という名古屋きっての繁華街の間にありながら、神社仏閣が多く落ち着いた雰囲気の東別院駅。この地で23年にわたり人気の焼酎専門店が『だいやめ』だ。
店に入って圧倒されるのは、壁一面を埋め尽くす焼酎のボトル。根強い人気のプレミアム焼酎から新時代を彩る気鋭の焼酎蔵まで、さながら焼酎博物館の様相である。
店主の坂本真人さんがこの店を開いた当時は、本格焼酎ブーム真っ只中。伝統的な製法で造られた、いわゆる芋臭い芋焼酎をお湯割りやロックで飲むのが主流であった。一時期ブームは下火になったが、ここ数年でソーダ割りで映える華やかな味わいの酒や、造り手と土地の個性が際立つ酒蔵が増え、人気が再燃している。坂本さんはそうした焼酎文化の変遷から最前線までを網羅した上で、今飲んでほしい一本とその飲み方を愛情込めて提案してくれる。
「気分やシチュエーションに合わせてカスタマイズできるのが焼酎の醍醐味。初心者はもちろん、クラシカルな焼酎ばかり飲んできたという方にも、好みに沿った中で新しい出会いと発見を楽しんでもらえると思います」と坂本さん。ここでは“おまかせ”が最適解だ。

店主の采配に委ねる幸せ
中でも飲んでほしいのが焼酎の前割りだ。芋焼酎『なかむら』、『㐂六(きろく)』など、常時20種ほどの前割りを用意する。少し熱めに燗付けされた前割りを飲めば、まるで温泉に浸かったようにユルユルと心と体が解けてゆく。

酒に合わせるのは九州の食材を使った料理の数々。炭火の燻香と肉のジューシーさに杯が進む宮崎名物・鶏の黒焼きをはじめ、熊本の馬刺し、鹿児島の黒豚など、九州全土の郷土料理を中心に幅広いメニューを取り揃える。奥行きのある店内にはカウンター席にテーブル席、座敷まで備え、ひとり飲みから宴会まで使い勝手も抜群だ。

ちなみに、だいやめとは南九州の方言で「晩酌をして疲れを癒す」という意味を持つ。店主のセレクトに委ねれば、誰もが至福のだいやめ体験へと誘われる。全国から焼酎好きがこぞって集まる、まさに聖地と呼ぶにふさわしい一軒だ。

未知なる一本に会いにきてください
だいやめ

愛知県名古屋市中区大井町3-20山下ビル1階
電話:052・331・0940
営業時間:17時~ 24 時(最終注文23時)
定休日:日曜 41席(座敷22席、テーブル12席、カウンター7席)。
交通:地下鉄名城線東別院駅より徒歩約1分
取材・文/宮内 健 撮影/鈴木泰介

