幾度かの浮沈を経て日本の酒文化の西横綱に立った本格焼酎。研鑽を続ける蔵は今「香り」という領域で鎬を削り合う。焼酎の香りの魅力が際立つ5本を紹介する。

(画像右から)

『TUNACHU(つなちゅう)』玄海酒造(長崎県壱岐市郷ノ浦町)

壱岐焼酎の歴史は古い。九州北部の壱岐島の麦焼酎はおよそ500年前に生まれ、世界貿易機関による地理的表示の産地指定を受けている。老舗の玄海酒造が提案するのが鮪に合うという減圧蒸留の酒。香りに甘みを含むが、キレがよく西洋料理にも無双の相性。

25度720mL/1375円
問い合わせ:玄海酒造 電話:0920・47・0160

『クラフトマン多田 スリープ オブ ザ ムーン杉』天盃(福岡県朝倉郡筑前町)

一般的な本格焼酎は、単式蒸留器で1回蒸留。一方で麦焼酎を専門とする天盃(てんぱい)は日本で初めて常圧2回蒸留を取り入れた。アイデアに満ちる蔵の、杉樽貯蔵による意欲作。麦や米の持つ穀物のうま味、焼きたてのパン、草いきれ、杉の芳香。濃密で味わい深い逸品。

25度720mL/2310円
問い合わせ:天盃 電話:0946・22・1717

『うかぜ』濵田酒造(鹿児島県いちき串木野市)

ライチのような香りの「DAIYAME」(芋焼酎)も評判を呼ぶ濵田酒造の新作。麦の味わい、紅茶香、フルーツ感、熟したコクとそれぞれ異なる特徴を持つ4つの原酒をブレンド。麦の味わいにビスケットやパンなどの「甘芳ばしさ」を表現。晩酌の定番酒にも向く。

25度900mL/1166円
問い合わせ:濵田酒造 電話:0996・21・5260

蕎麦

(画像右)

『那由多の刻(とき)』雲海酒造(宮崎県宮崎市)

芋焼酎王国宮崎にあって、蕎麦焼酎のパイオニアとしても名高い雲海酒造。蕎麦を原料に、麦麹と米を掛け米にして丁寧に造られ、樽で貯蔵。長期熟成で味を出す。カラメルのようなコクのある飲み口で、ブランデーのような気持ちでロックにしてもよい。

25度720mL/1540円
問い合わせ:雲海酒造 電話:0985・23・7896

(画像左)

『野うさぎの走り』黒木本店(宮崎県児湯郡高鍋町)

芋、麦、米を自在に扱う実力蔵、黒木本店の米焼酎である。干しイチジクのような甘み、焼き米の芳ばしさ、樽のような木香、ナッツのうま味。ミネラル感。飲み口はドライだが、後口がどんどん膨らむ。ストレートもよいが、お湯割りで香りがよりひらく。

37度600mL/3190円
問い合わせ:黒木本店 電話:0983・23・0104

撮影/石井宏明

※この記事は『サライ』本誌2024年8月号より転載しました。

『サライ』2024年8月号特集は「本格焼酎は“香り”で味わう」

 

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