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旅行

ビールを片手に絵画鑑賞、クラブイベントもあり。イギリス人流、夜の博物館の楽しみ方

文/塚田沙羅(海外書き人クラブ/ロンドン在住ライター)

イギリスには、ロンドンの大英博物館を筆頭に有名な博物館、美術館が数多くあります。こうした施設はたいてい午後5~6時で閉館してしまいますが、特定の曜日に夜間開館しているところも珍しくありません。日本でも夜間開館する博物館はありますが、イギリスではよりエンターテイメント性の高いイベントであることが大きな違いです。

今回は、イギリスでの夜の博物館の楽しみ方をご紹介します。

博物館のレイトイベントとは?

施設によっては、ただ夜間オープンするだけでなくバーが設営されてお酒の提供が行われたり、ワークショップやトークショー、ミュージックライブやショーなどのパフォーマンスを催すところもあります。イギリスの美術館や博物館は、常設展に関しては基本的に入場無料のところが多く、レイトイベントも無料です(一部プログラムは有料の場合もあり)

特に、ロンドンの科学博物館と自然史博物館では、毎月末に1日限定で、特別テーマをもとに「Lates」というイベントを行い、多くの訪問客を集めています。

大切な問題に目を向ける科学博物館のレイトイベント

科学博物館では、イギリス産業革命の遺産である蒸気機関の仕組みや、古い時代の飛行機、家電の歴史、最新の科学技術についてなど、科学の発展と共に生み出されてきた数々の品物を3フロアにわたって展示しています。レイトイベントでは、こうした常設展示も通常の営業時間と同じように鑑賞できるのに加え、イベント限定のテーマに沿ったさまざまな企画が開催されているため、異なる分野の知見を広めることができるまたとない機会です。

同館では毎月最終週の水曜日にレイトイベントを開催しています。6月のイベントテーマは「Sexuality(性)」。男女の性は元より、近年認識が広まっているLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)についても広く取り上げていました。

女性の性機能について理解を深めるための特設ブース

今回のテーマに関連した特設ブースでは、トークイベントやワークショップ、お客参加型のディスカッションなど一夜限りの催しが満載。

女性の性機能について理解を深めるための特設ブース

手刷りの版画を作ることができるワークショップは、「LOVE PRIDE」という文字の入った、LGBTを支援するポスターをシルクスクリーンで制作する人で賑わいました。

「PRIDE」とは、LGBTの人が自分に誇りを持つべきだという考え方を指すのに使われる単語で、現在では一連のLGBTイベントを開催するグローバルコミュニティの名称にもなっています。

LGBTのゲストによるパフォーマンス。ムーディーな空間に響き渡る歌声に多くの人が足を止める

また、ヘッドフォンをつけて音楽を聴きながら踊るサイレントディスコや、LGBTのパフォーマーによるショーなど、活気あるエリアも登場。ビールやワイン、カクテルを提供するバーもオープンしており、仕事帰りのちょっとした大人のアクティビティとして人気を集めています。

【科学博物館】

生物をより身近に感じられる自然史博物館のレイトイベント

自然史博物館のメインホール

科学博物館の隣に位置するロンドン自然史博物館は、昆虫から海洋生物、哺乳類、恐竜に至るまで古今東西の生き物の標本、植物、鉱物、宇宙など自然界に関する膨大なコレクションを有しています。

入口を入ってすぐのメインホールでは、「HOPE(希望)」という名で親しまれるシロナガスクジラの骨格標本が訪問者を出迎えます。全長25mの巨大なクジラは、まるで博物館の中をゆったりと泳いでいるようで、そのダイナミックな姿に圧倒されること間違いなしです。

同館のレイトイベントは毎月最終週に行われます。6月のイベントテーマは、「Beauty in the Beasts(獣に見る美しさ)」。複数の特設ブースが設けられ、専門知識を有するスタッフが生き物の形態や体の仕組みについて、実物の標本を用いながら解説を行っていました。さまざまな模様の羽を持つ蝶や、珍しい海洋生物などを取り上げて、自然が作り出した美しさを実際に見てもらおうという企画です。

特設ブースによっては生き物の標本を拡大鏡でじっくりと観察できる

 

訪れた人は、普段見ることのできない標本に興味津々の様子。

自然史博物館には標本を収蔵する部屋や、研究者が実際に研究、調査を行うラボ(研究室)が併設されており、こうした裏側を見学するツアーも1人10ポンド(約1500円)で開催されていました。全長8.6mものダイオウイカを含む、秘蔵の標本コレクションも見ることができるようです。

ビールを片手に恐竜標本の展示室を鑑賞する人たち

同館でも一夜限りのカウンターバーが出現。多くの人がビールやワインを手にしながらスタッフの説明を聞いたり、生き物の剥製や恐竜の骨格標本を見たりしながらそれぞれの夜を楽しんでいます。リラックスしながら博物館を楽しめる時間として、仕事帰りのビジネスマンから、カップルやファミリーまで多くの人が訪れていました。

【ロンドン自然史博物館】

今回は、イギリスならではの夜の博物館の楽しみ方をご紹介しました。イギリスを訪れた際は、こうしたチャンスを利用して文化的な夜を過ごすのも一興です。知的好奇心を満たす旅をしたい方におすすめのイベントと言えるでしょう。

文・写真/塚田沙羅
ロンドン在住のライター。海外書き人クラブ所属。芸大から出版社を経てフリーに。イギリスの文化や生活、アートについてさまざまな媒体で執筆。

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