取材・文/末原美裕

京都のなかでもとくに「インスタ映え」する場所として注目を集めているのが、比叡山の麓にある瑠璃光院です。もしかしたら今一番、SNS上で話題の京都の寺院かもしれません。

濃密な緑は書院の中の写経机にまで映りこみ、室内にいても、美しい森の中にいるかのような鮮やかな青もみじの世界に包まれます。通常非公開ですが、春と秋にのみ特別公開されています。

高野川の清流に沿って歩いていくと、瀟洒な山門が見えてきます。

瑠璃光院は、京都市内でも北のほうに位置する八瀬という地にあります。八瀬は、古来「矢背」とも記されたように、壬申の乱で背中に矢傷を負った大海人皇子(天武天皇)が八瀬の釜風呂で傷を癒したと伝えられている場所です。以来、貴族や武士からはやすらぎの郷として愛されてきました。

その地に静かに佇む瑠璃光院は、三条実美公ゆかりの寺院で、一万二千坪にも及ぶ広大な敷地を誇ります。大正末から昭和の初めにかけて、京数寄屋造りの名人と称された中村外二氏により数奇屋造りに大改築をするとともに、自然を借景とした名庭を佐野藤右衛門一統が造営しました。豊かな自然と建造物が調和した日本らしい美意識が生きる寺院として多くの人々に感銘を与えています。

秋のもみじライトアップが大人気でしたが、京都洛北八瀬活性化に向けた取り組みの一環で、今年初めて青もみじのライトアップも行われることになりました。夜間は、琴や尺八など楽器の演奏も行われ、さらなる幻想的な別世界へと誘ってくれます。

苔のじゅうたんで覆われた瑠璃の庭。雨上がりには苔全体が輝き、まさしく瑠璃色になるそうです。

今にも駆け上ろうとする龍を水の流れと石組で躍動的に表した、臥龍の庭。昇運の兆しをもたらしてくれるとのこと。

縁側に腰をおろし、瑠璃の庭を眺めていると、瑞々しいもみじの葉とヴェールのような苔が織りなす圧倒的な緑に時間を忘れてしまうことでしょう。ライトアップされた様は、まるで瑠璃色の宇宙空間のような眩しさがありました。

「インスタ映え」などと軽く表現できぬほど、深遠なる美しさが瑠璃光院にはあります。ぜひご自身の五感で触れてみてください。

■瑠璃光院
住所:京都市左京区上高野東山55番地
アクセス:叡山電鉄「八瀬比叡山口」駅下車 徒歩5分
拝観時間:10:00~17:00 ※春の特別拝観は6月15日までとなります。
拝観料金: 2000円
※青もみじのライトアップは、「そうだ 京都、行こう。」プラン申込者1500名限定(1日150名10日間実施)の貸切プランとなります。詳細は下記リンク先をご覧ください。

JR東海「そうだ 京都、行こう。」青もみじ御朱印めぐり:
http://souda-kyoto.jp/travelplan/early-summer_sp/index.html

八瀬もみじの小径ライトアップと瑠璃光院 夜の特別拝観:
http://souda-kyoto.jp/travelplan/rurikoin_yase_sp/index.html

取材・文/末原美裕

 

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