《9日目》長万部 13:18 ~ 倶知安 14:57
函館本線と、室蘭本線の分岐・合流駅、長万部。複雑に組み上がった線路や、駅構内を照らす照明灯など、交通の要衝らしい姿を見せている。
12時55分、小樽行きの普通列車が引上げ線を渡ってホームに向かってきた。
乗客は、特急列車からの乗り換え客が数名だけ。
かつては特急や急行が駆け抜けた長万部~小樽だが、現在ここを走る定期列車は普通列車のみ。けれどニセコの観光客も増えたためか、近年は臨時特急も姿を見せるようになった。
ホームには「特急ニセコ」の標識が掲げられていた。
『かにめし』と並ぶ長万部名物「もりそば」弁当。かにめしの箸袋に書かれた「蟹はよしそばもまた好し長万部」 (北林透馬)というストレートすぎる句が、ストレートに理解できる逸品だ。
ホームの片隅でくつろぐ女性。あまりにくつろいでいるので、列車に乗るように見えなかったが、もし乗る予定で一本乗り遅れたら次は3時間後だ。たずねてみたら、やはりニセコに向かうという。列車はすでに彼女の遙か後ろの方で停まっているのだが、ホームが長すぎて気づかなかったらしい。
倶知安まではこの列車。豪雪勾配区間に強いキハ150だ。
長万部から乗ったのは、特急列車からの乗り継ぎのお客さん。本数は少ないがそれなりの乗車があるようだ。
もっともお弁当屋さんから話を聞くと『新幹線が開通してからニセコに向かうお客さんは減ったかもしれません』という、理由は新幹線の駅からニセコに直行する送迎バスだそう。新幹線の開業が鉄道の乗客を減らしているとしたら皮肉である。
昆布駅で温泉帰りの乗客を乗せ、ニセコ駅で外国からのお客さんを降ろした後は、羊蹄山を眺めながら倶知安への山道を下る。
いつか泊まろうと思いつつ、まだ泊まったことの無い「駅が宿」になっている比羅夫駅。
そして列車は倶知安駅に到着した。