《9日目》岩見沢 18:28 ~ 滝川 19:07
岩見沢で滝川行きに乗り換える。隣を特急「カムイ」が急ぎ足で出て行った。あちらは旭川に19時半ころ到着する。
何ごともなく揺られて、19時07分、滝川到着。
今日はここで宿を探そう。その前に名物も食べておかねば……と言うことで、滝川名物の松尾ジンギスカン本店へ。やっぱり旨い!
実は今回の旅行では、福島と北海道というヒツジ肉の名所を2カ所回っている。この二つの町は、それぞれ異なった理由から、ヒツジを食べる食文化を作っていった。食文化で旅の土地がつながって見えるのは面白い。
お店の人に尋ねたところ、北海道も福島と同じく昭和30年代に端を発しているところも興味深い。余分なことを聞いて楽しめるのも、余分な時間のあるありがたさか。
食事のあいまにスマホで滝川周辺の宿を探したが、今ひとつピンとこないので、そのまま駅に戻って旭川を目指すことにする。
21時43分発の旭川行き。これが一日8本ある普通列車の最終便だ。
《9日目》滝川 21:43 ~ 旭川 22:34
かつて札幌や小樽から新千歳空港まで、満員の乗客を乗せていた車両の車内は、さみしいほどガラガラ。
22時34分に旭川へと到着した。今日の旅はここまで。
この日の乗車は、函館から旭川まで。乗車路線は函館本線一本のみなのだが、結果的に一日で函館本線を踏破(支線区間をのぞく)したことになった。鈍行列車のみで函館~旭川を乗車するのは、このルートが最速らしい。北海道18きっぷの旅は、なかなかの難物だ。
さて明日はいよいよ最終日、次は宗谷本線の全線踏破が待っている。
【実録「青春18きっぷ」で行ける日本縦断列車旅】
※ 1日目《枕崎駅~熊本駅》
※ 2日目《熊本駅~宮島口駅》
※ 3日目《宮島口駅~名古屋駅》
※ 4日目《名古屋駅〜戸狩野沢駅》
※ 5日目《戸狩野沢温泉駅~只見駅》
※ 6日目《只見駅~鶴岡駅》
※ 7日目《鶴岡駅~ウェスパ椿山駅》
※8日目《ウェスパ椿山駅~函館駅》
文・写真/川井聡
昭和34年、大阪府生まれ。鉄道カメラマン。鉄道はただ「撮る」ものではなく「乗って撮る」ものであると、人との出会いや旅をテーマにした作品を発表している。著書に『汽車旅』シリーズ(昭文社など)ほか多数。