文・写真/佐竹敦

千葉県の長南町にある笠森寺に、日本で唯一の特異な建築様式である“四方懸造(しほうかけづくり)”の観音堂があるとの噂を聞き付け、早速訪ねてみました。

日本を代表する懸造(かけづくり)といえば、言わずと知れた京都・清水寺にある“清水の舞台”ですが、それに対して笠森寺の観音堂の“四方懸造”とは、一体どんな建築様式なのでしょうか?

*  *  *

笠森寺は、坂東三十三観音霊場の第三十一番札所で、笠森観音とも呼ばれています。延暦3(784)年に、最澄が観音像を刻み、山頂に置いたのが始まりと伝えられていて、巨大な岩の峰上に建てられた観音堂は、それぞれ高さが違う61本の柱で支えられた舞台が四方を取り囲む特異な建築様式で建てられています。

これが『四方懸造』であり、現存する日本唯一のもので、国の重要文化財に指定されています。

それでは観音堂に登ってみましょう。観音堂に登る際には土足厳禁です。

観音堂への入り口。長い階段が続いています。

かなり急な階段です。

さらに登っていきます。

見ているだけでも目が回ってしまいそうです。四方に脚を下ろし、空中に浮かんでいるかのような観音堂へ辿り着くには、75段の急峻な階段を登る必要があります。

四方に巡らされた回廊からは房総の山々を見ることができます。

登って行くだけで、一苦労もふた苦労もあります。

階段から観音堂の下の部分を覗いてみました。本当にスゴいです。

ようやく観音堂に到着しました。観音堂から下を覗いてみました。やはり目がくらみそうです。

観音堂の四方に巡らされた回廊を一周してみます。

観音堂の堂内は撮影禁止なので、気になる方はぜひご自身の目で確かめて下さい。ちなみに観音堂に安置されている御本尊の「十一面観世音菩薩」は午と丑の年に御開帳されることになって いるそうです。

観音堂を一周しました。

今度はさっき登ってきた階段を降りて行きます。

手摺りがないと降りて行けないような急な階段です。

慎重に降りて行きます。

それにしても本当にスゴい立地に建っていますね。

階段からは観音堂を支えている柱の様子を間近に見ることができます。よくこんなところにお堂を建てたなあと、つくづく感心します。

柱組がよく見えます。土木技術の粋を集めて造られたことがよくわかります。ただただ圧巻です。

次は正面以外からも見てみましょう。正面向かって右側の真横から見上げてみると、岩の上に絶妙なバランスで乗っているのがよくわかります。

さらに真後ろの方に回り込んでみましょう。

続いて正面真下から見上げてみました。

正面向かって左側の真横から見上げてみました。

以上、今回は千葉県の笠森寺に現存する、わが国唯一の“四方懸造”の観音堂をご紹介しましたが、いかがでしょうか。房総を訪ねる際は、併せて訪ねてみてはいかがでしょうか。

文・写真/佐竹敦
日本全国の即身仏・一之宮・五重塔・三重塔・滝百選・棚田百選・国分寺跡をすべて訪ね歩いた一人旅の達人。テレビチャンピオン滝通選手権出場。主な著書に「この滝がすごい!」「日本の滝めぐり」等。テレビ東京の「厳選!いい宿ナビ」のコラム執筆、@nifty温泉の記事執筆等、ライターとしても各メディアで活躍中。

 

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