文・写真/佐竹敦
長崎県の対馬には、日本でもここにしかないという、屋根を石で葺いた珍しい「石屋根倉庫」という建物があります。
石屋根倉庫の起源は明らかではありませんが、古い伝統をもつといわれていて、古来穀物を中心とする食糧や日常生活用品を保管するために使われてきたといわれています。
見た目にもかなりの重量になると思われる板状の石が積み重ねられているその佇まいには、圧倒的な重量感と、決して無視できない存在感があります。
石屋根をアップで見てみましょう。
かなりの重量になりそうです。建物がこの重みに耐えられるのか不安を覚えるほどです。
このどこか懐かしい哀愁漂う石屋根倉庫がある景観は、旅人の足を止めずにはいられないものがあり、ついつい時間も忘れて魅入ってしまうものがあります。
尚、以前は対馬の全島で石屋根倉庫が作られていたとのことですが、近年では石屋根の維持が困難となり瓦屋根に吹き替えられてしまうものが多いとのことです。
現在では今回訪ねた椎根地区を始め、厳原町の西海岸にわずかに残っているに過ぎないため、このままでは石屋根の消滅が危惧される状況にあるといいます。椎根地区でも瓦屋根に吹き替えられているものが散見されます。
消滅の危機にあるという石屋根倉庫群。このどこか懐かしい素朴で純朴な石屋根倉庫が佇む景観をいつまでも守って残してほしいと強く願わずにはいられませんでした。
文・写真/佐竹敦
日本全国の即身仏・一之宮・五重塔・三重塔・滝百選・棚田百選・国分寺跡をすべて訪ね歩いた一人旅の達人。テレビチャンピオン滝通選手権出場。主な著書に「この滝がすごい!」「日本の滝めぐり」等。テレビ東京の「厳選!いい宿ナビ」のコラム執筆、@nifty温泉の記事執筆等、ライターとしても各メディアで活躍中。HP「日本秘境探訪」http://syakeassi.xsrv.jp/