
©Innovation Norway
ノルウェーといえば、切り立つフィヨルドや氷河が織りなす海の絶景をまず思い出すことだろう。ご存知のとおり、複雑に入り組んだ地形を特徴とする湾や入り江のこと。氷河の浸食作用により、長い時間をかけて形成されたものであるだけに、自然の力を実感せざるを得ない。
しかし当然のことながら、ノルウェーの魅力はフィヨルドだけではない。たとえば注目したいのが、ノルウェー人にとっても観光地として馴染み深い「ロフォーテン諸島」だ。スカンジナビア半島の北側にあたる北極圏に位置するロフォーテン諸島は、自然大国としてのノルウェーの美しさを凝縮したような魅力を備えていながら、日本ではほとんど知られていない秘境なのである。
今回はロフォーテン諸島を中心としたノルウェーのおすすめポイントや見どころについて、ワールド航空サービスの北欧担当・菊間陽介さんに伺った。
■海と岩の織りなす絶景

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ロフォーテン諸島の魅力といえば、大小無数の島々が点在する多島美だ。海と岩の織りなす絶景は、まるで絵画のよう。険しい岩山が無数に連なる景観も、「まるでアルプスが海に沈んでいるようだ」と形容される。
ちなみにこれらの岩山は、氷河の浸食によって削り出されたもの。実はその大部分は、海の中に隠されているのだという。つまりは、アルプスの山並みの山頂近くの部分だけが、海の上にそそり立っているようなものなのである。
岩山は、高いものでは1000メートルを超えるというが、印象的なのはその麓(ふもと)。急勾配の岩山にへばりつくかのように、カラフルな家々の並ぶ小さな村がとても印象的なのである。係留された船の数々にもかわいらしい印象があり、それらすべてが絵葉書のような美しさを演出している。
「ロフォーテン諸島はそのダイナミックな自然景観から、ノルウェーの国家プロジェクトの「ナショナルツーリストルート」のひとつとして認定されています。これは、景観が素晴らしい道に、自然と融合できるようなモダンアートで彩るというものですが、車で走るだけでも見どころのある道に更なるアクセントを加えてくれます。」(ワールド航空サービス菊間陽介さん)
■島々を巡るドライブやクルーズ

レイネ ©Innovation Norway
なお、島と島の間は多くが橋で結ばれているため、車で渡ることも可能だ。「ロフォーテンのベネチア」とも称されるヘニングスヴァーや、諸島最西端にあたる町オーなどへのドライブは格別のひとこと。
車窓を眺めているだけでも飽きないのは、ダイナミックな岩山、かわいらしい村、のどかな港と漁村など、それぞれが個性的で美しい光景が次々と現れるから。雄大な自然と長い歴史を、存分に感じ取ることができるのである。
さらにトロルフィヨルドのクルーズでは、島と島との間は幅が狭いため迫力満点の景観を間近で楽しむこともできる。
「レイネもおすすめです。ここは、日本旅行業界が選ぶ“
■世界で最も美しい国立公園
また、秋には美しく染まるアビスコ国立公園も、ぜひ訪れてみたい。「世界で最も美しい国立公園のひとつ」といわれており、オーロラの観光地としても名高いのだ。

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特筆すべきは、スウェーデン人たちにも馴染み深い「王様の散歩道」と呼ばれる小道。なんとその全長は400キロ近くに及ぶため、その一部をハイキング感覚で歩くだけでも充実感を得ることができるのである。

王様の散歩道 ©Michael Jönsson
ヨーロッパ最北の地を走るノールランストーグ鉄道に乗って、ナルヴィークまでの車窓を楽しむのもいい。まさに北欧というべきフィヨルドの絶景が、パノラマのように展開されるのだ。北の大地を駆け抜ける列車の旅には、鉄道マニアならずとも魅了されることだろう。
「アビスコ国立公園は、
また、欧州最北を走る鉄道は、幻想的な湖、森の中を走る川、
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以上、今回はノルウェーのロフォーテン諸島を中心とした見どころをご紹介した。
絶景ドライブ、フィヨルドクルーズ、そして最北鉄道列車と、ノルウェーの旅では移動も楽しみのひとつ。海に、山に、北欧ならではの秋景色を楽しめるのである。この秋の旅行先として、候補に入れてみてはいかがだろうか。
文/印南敦史
