べっ甲の原料はタイマイというウミガメの甲羅や爪。ワシントン条約により日本では平成4年をもってタイマイの輸入が禁止され、現在使われているのは禁止前の貴重なものだ。
べっ甲といえば、「斑」という濃淡の美しいまだら模様が魅力。べっ甲細工でその模様がきれいに見えるかは、職人の腕にかかってくる。
「原料の甲羅は、じつは非常に薄いため、厚みを出していくには何枚もの甲羅を重ね合わせなければなりません。接着剤は一切使わず、職人が水と熱と圧力だけで接着していきます。そのとき、模様がきれいに重なり、まるで元から一枚の甲羅であるかのように見せるのが、熟練の技なのです」と語るのは、江戸時代から続く江戸鼈甲屋の7代目・石川浩太郎氏である。石川氏がデザインを施したこちらの耳かきは、『サライ』オリジナル品。両側に付いている耳かき部分は、大と小の2サイズを採用し、自分の耳の大きさに合わせられる。
「中央の胴部分は厚みがあって持ちやすく、耳かき部分は研磨して耳穴に入りやすいように薄く仕上げています。べっ甲は全方向に力を逃がす素材のため、耳に伝わる力は優しく、弾力性もあるのでしっかりとしなり、極上の耳あたりです」(石川氏)
【今日の逸品】
べっ甲の耳かき
『サライ』×江戸鼈甲屋
12,100円(消費税込み)