2016年1月に行われたフランスの地方再編により、それ以前に22あった地域が13に統合された。その結果、かつてのミディ・ピレネー地方とラングドック地方が合併して誕生したのが、南仏のオクシタニー地方だ。
ポン・デュ・ガールやカルカッソンヌ、ルルド、サン・シル・ラポピーなど、8つの世界遺産を含む美しい観光地があるため、見どころは多彩。それらの名所をひとつひとつ巡るだけでも楽しめるが、時間帯や曜日を変えてみるなど、アプローチの仕方をちょっと工夫してみれば、その印象はさらに変化する。
今回は、いま注目の南仏「オクシタニー地方」でぜひ訪ねてみたい8つの街と村について、ワールド航空サービスの南欧ツアー企画担当各位のコメントと合わせてご紹介しよう。
■1:カオール
オクシタニー地方の北部を形成しているのは、古くからケルシー地方と呼ばれている地域。その中心的な街が、ロット県の県庁所在地であるカオールだ。
市内に流れるロット川にかかるヴァラントレ橋、そしてサンティティエンヌ大聖堂は、世界遺産「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」の一部として登録されている。そんなバックグラウンドを持つため、いまなお大聖堂を中心として中世の町並みを残しているのである。
そして、そんな町にさらなる彩りを添えてくれるのがマルシェだ。特に土曜日ともなれば、大聖堂前は彩り豊かなテントで埋め尽くされることに。もともとはベージュ色の家並みが、カラフルに彩られる。
マルシェで手に入るフォアグラや名産のカオール・ワインは、ぜひとも味わってみたいものである。
「12世紀に建造されたサンティティエンヌ大聖堂や14世紀に造られた街の象徴、ヴァラントレ橋が残る旧市街は、中世ヨーロッパの趣を満喫できます」(ワールド航空サービス 乗田さん)
■2:サン・シル・ラポピー
サン・シル・ラポピーは、ロット渓谷の断崖100メートルに位置する村。2012年には、「フランス人が選ぶフランスの好きな村」という投票で1位を獲得した実績を持つ。また、日本旅行業協会が選定した「ヨーロッパの美しい街30選」に選出されたこともある。
ロット渓谷の断崖100メートルに位置する村は、霧がかかっていることも多いが、晴れ渡るとその中から、印象的な赤レンガの建物が現れる。渓谷の緑とのコントラストは、絶妙というしかない美しさだ。
そして、村の立つ断崖の下を流れるロット川で船に乗り、村の要素を見上げてみればまた異なった印象が。過度に華やかなわけではないが、静かで落ち着いた村だからこそ、愛しさを感じることができるだろう。
「オクシタニー地方でも最も絵になる村のひとつで、村の中はまるでおとぎの世界に迷い込んだようです」(ワールド航空サービス 菊間さん)
■3:ルルド
フランス南西部・オート=ピレネー県のルルドは、ピレネー山脈のふもとに位置する人口15,000人程度の小さな町。1858 年に地元の少女がマッサビエルの洞窟のそばで薪拾いをしているとき、聖母マリアが出現したといわれている。
故にカトリック教会の巡礼地となっており、毎年何百万人もの巡礼者が、聖母マリアの出現したマッサビエルの洞窟を訪れる。奇跡の水が湧き出るとされる「ルルドの泉」では、聖水を飲むことができ、聖水浴を受けることも可能だ。
周囲を囲むピレネーの自然環境とも相まって、静かで厳かなムードに包まれているが、特に印象深いのは、4月〜10月の夜。日が暮れたあとでバジリカへ向かう巡礼者たちが持つろうそくの灯りが、神聖な雰囲気を醸し出すのだ。柔らかな光の群れが連なる様子は、感動的ですらある。
「現代の奇跡が起こった場所として聖地となったこの小さな町は、今でも多くの巡礼者が集い、神聖な雰囲気が漂います。夏場に毎晩行われる「ろうそく行列」は、ろうそくを手にした人々の連なる風景が幻想的です」(ワールド航空サービス 鈴木さん)
■4:コリウール
コリウールは、フランスからスペインへと伸びる地中海の海岸線の国境近く、ピレネー山脈の先端部分と地中海が接する場所にあたる村。マティスやピカソなどの画家たちがその美しさに魅了され、光にあふれる夢のような景色を、幾度となくモチーフにしたことでも知られる。
そんな歴史があるため、現在も多くの画家が滞在しており、約30軒の画廊が点在する。他にもシャトー・ロワイヤル、ノートルダム・デ・ザンジュ教会、サン・テルム要塞、ムーレ地区の小道、旧港、海岸など、見どころは多彩だ。
狭い路地を気ままに歩くのも楽しいが、ふらっと立ち寄れる小粋なバーが多いのも魅力。名物のアンチョビと名産のコリウールワインがあれば、極上の時間を過ごすことができるだろう。
「マティスをはじめとする多くの画家たちが愛した風光明媚な地です」(ワールド航空サービス 乗田さん)
【5:カルカッソンヌに続きます】