■5:カルカッソンヌ
カルカッソンヌは、フランス南部ラングドック地方の「丘の町」。なにより圧倒され得るのは、背後にそびえるピレネー山脈とのコントラストだ。
多数の監視塔や二重壁の要塞を備えた中世の城塞都市「シテ」で有名。なおガロ・ローマ時代に建設された最初の壁は、13~14 世紀にかけて大規模な増築が行われている。シテにあるコンタル城は、 12 世紀に建てられた城で、遺跡に関するさまざまな展示を楽しむことができる。
ちなみに、この町の持ち味である景観が際立つのは夜。柔らかな光に照らし出された城壁は、昼間の重厚な印象とは違った、優美な表情を見せるのである。
「城内に残る中世の街並みと、背後にそびえるピレネー山脈との風景は一幅の絵画のようです。夜には城壁がライトアップされ美しい景観を呈します。」(ワールド航空サービス 菊間さん)
■6:コンク
「フランスで最も美しい村100選」に選ばれた実績を持つコンクは、サンチャゴ巡礼の中継地点。フランス南西部のミディ・ピレネー地方に位置し、サンティアゴ・デ・コンポステラ巡礼路の要所として、歴史を刻んできた谷間の小さな村である。
そのため、あたかも中世で時が止まったかのような印象。ベージュの壁とグレーの屋根で統一された家々、曲がりくねった小道など、ひとつひとつのエレメントに、多くの巡礼者たちで賑わった中世の雰囲気が残っているのだ。
建築物も見ごたえがあり、巡礼路において最も古いサントフォワ教会は、ロマネスク様式の傑作と名高い。
町全体に厳かな雰囲気が漂っており、映画『美女と野獣』のロケ地として話題になったことにも十分納得できる。
「中世で時が止まったかのような村です。サンチャゴ巡礼路の途上にあり、サントフォア聖堂はフランスロマネスク建築の白眉です。」(ワールド航空サービス 鈴木さん)
■7:ロカマドール
ロカマドールは、モン・サンミッシェルと並ぶフランスの宗教的観光地。アルズー渓谷の切り立つ断崖に貼りつくように教会や修道院が並ぶ「奇観の村」だ。
聖アマドゥールが隠れ住んだといわれる地。12世紀以来、多くの巡礼者が訪れるようになった。15世紀には岩盤が崩れて教会も倒壊、廃墟となってしまったが、19世紀に修復。以来、現在に至るまで巡礼者が後を絶たない。
ぜひ立ち寄りたいのが、崖の中腹にある聖域だ。というのもここには、サン・ソヴール・バジリカ聖堂に付属するサン・ミッシェル礼拝堂をはじめ、ノートルダム礼拝堂、聖アマドゥールの柩が収められた地下礼拝堂など6つもの礼拝堂があるのだ。
また、渓谷を挟んだ対岸にある見晴台も見どころ。ここから眺める景色は、まるで絵画のようである。
「断崖の向かい側に展望台があり、そこからの眺めは大変、絵になります。」(ワールド航空サービス 乗田さん)
■8:ガヴァルニー
「ピレネーの真珠」とも呼ばれるガヴァルニー圏谷は、2万年以上前に作り上げられた壮大な氷河の圏谷。まるで崖のように、まっすぐ落ちる山肌が印象的だ。その美しさが最も際立つのは、圏谷に太陽の光が当たる5~7月。訪れるなら、この時期を意識しておくべきだろう。
山稜からは、落差422mのヨーロッパで最も大きな滝であるガヴァルニーの滝を見ることもできる。圧倒的な勢いで流れ落ちる滝は大迫力だ。
また景色を眺めるだけでなく、ハイキングなどをゆったりと楽しむことも可能。レストランや駐車場が連なるガヴァルニー村をスタートラインとして、さまざまなプランを選ぶことができる。体力に自信がない人でも、豊かな草原や針葉樹林などを自分のペースで無理なく楽しめるのである。
「ハイキングコースもあり、夏から秋にかけて多くのハイキング客がこの地を訪れます。氷河がつくりだした巨大なカール(圏谷)と、それを包むようにそびえる3000メートル級の山々とが壮観です」(ワールド航空サービス 菊間さん)
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長い歴史と豊かな自然環境が織りなす景観は、間違いなく感動的。ヨーロッパ旅行を計画するなら、オクシタニー地方を選択肢に入れておきたい。
文/印南敦史
取材協力/ワールド航空サービス
http://www.wastours.jp