由緒ある庭と一体になる静謐に包まれる宿
ふふ 奈良(奈良市高畑町)

約80平方メートルのプレミアムコーナースイート、1泊2食付きひとり6万6150円~。客室は5タイプあり、いずれも70平方メートル以上の広さ。テラスの先には竹林が広がり、露天風呂では県内から運んだ天然温泉が楽しめる。
上写真と同じプレミアムコーナースイートはリビングと寝室が一続きで、リビング部分が一段低い。ベッドサイドの灯りは、奈良晒(さらし)で仕立てられている。

奈良公園の南、浮見堂(うきみどう)が浮かぶ鷺池(さぎいけ)に面する瑜伽山(ゆうがやま)園地は、明治から大正にかけて大阪財界で活躍した山口吉郎兵衛の別荘があったところ。文化的価値が高い庭園や茶室が復元整備され、昨年5月から公開されている。この園地の南側に立つのが『ふふ 奈良』である。

瑜伽山園地の山側は竹が生い茂る。宿泊者は専用の出入り口から園地の庭を通り、食事処へ行くことができる。

建築デザインは新国立競技場の設計で知られる建築家・隈研吾さん。外観は規則的な凹凸が美しい大和張りを黒く仕上げることで繊細な陰影が生まれ、閑静な趣が満ちる。宿のブランドカラーのひとつが墨色(グレー)ということで、館内全体がしっとり落ち着いた雰囲気だ。

坐することを意識した、堀り込みのリビングをはじめ、客室はすべて異なるデザインになっている。

本館1階にある「Bar 蓮(れん)」。国産ウイスキーやワイン、奈良の地酒が揃い、カウンター席と落ち着いたソファ席がある。
レセプションの受付カウンターにはこの地に根付いていた楠の大木を利用。写真奥には宿のオリジナル商品を置くショップがある。

上質な空間に加え、テラスには天然温泉の露天風呂を備え、そよぐ竹の音を耳に、湯浴みができる。

食事は瑜伽山園地に面する食事処「滴翠(てきすい)」でいただく。夕食は日本料理か鉄板焼きを選ぶ。いずれも地産の食材を使いながら、和漢の香りやコクを加えた独創的な料理。奈良の特産である大和当帰をはじめ陳皮やウコン、柿の葉などが多用される。旅の疲れが取れ、体が元気になる味わいだ。

赤米の茶粥(手前中央)が付く和朝食。中段左はカレイの西京焼き、ほかに茄子の煮浸し、牛肉しぐれ煮と牛蒡のきんぴら、ほうれん草とマイタケのお浸し、鮪の霜降り、蟹クリームコロッケなどの多彩なおかずの数々。
夕食の日本料理のコース。焼き物の和牛の和紅茶焼き。当帰葉や柿の葉などを燻し、和紅茶に絡めて焼く。付け合わせは赤万願寺唐辛子。地酒も豊富で、1合1000円~。

ふふ 奈良

令和2年6月5日開業。隈研吾さんが手がけ、庭と建物が調和する「庭屋一如」を叶えている。
奈良市高畑町1184-1
電話:0570・0117・22
チェックイン15時、同アウト11時 料金:1泊2食付きひとり3万8650円~ 30室。
交通:近鉄奈良駅からタクシーで約5分

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※この記事は『サライ』本誌2021年11月号より転載しました。(取材・文/関屋淳子 撮影/大腰和則)

 

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