御所|油長酒造
新旧を融合し次世代へ日本酒文化を伝える


大和平野の西南部に位置する御所(ごせ)市。西部には金剛山、葛城山の峰々が連なり、山麓では良質な米が栽培されている。旧市街である「御所まち」は、江戸時代の陣屋町の面影を色濃く残す地域。その一角に立つのが油長(ゆうちょう)酒造である。
代表銘柄の「風の森」は、平成10年に先代が始動。それまでの桶売りが主流の酒造りから、奈良を代表し、地元で愛される酒を造りたいという想いからだ。13代蔵主の山本長兵衛さん(43歳)は話す。
「当社の〈御所まち蔵〉では無濾過無加水生酒の『風の森』を造り、全量甕(かめ)仕込み専用の酒蔵〈享保(きょうほう)蔵〉では古書に沿った寺院醸造を極める『水端(みづはな)』の醸造を令和3年から開始しました。また棚田の真ん中に〈葛城山麓醸造所〉を建て、ここで収穫される秋津穂米で『S風の森』を醸しています。100年先も田んぼが広がる美しい里山を残し、歴史に深く関わってきた奈良の酒を次世代へ繋げたいと思っています」
山本さんの指揮のもと、3つの個性豊かな酒蔵で若い蔵人たちが比類なき一本を生み出している。

油長酒造

御所市1160
電話:0745・62・2047
https://yucho-sake.jp/
御所|千代酒造
良き酒の原点は風土が生み出す米作りから

奈良の豊饒を感じる酒
同じく御所にある千代(ちよ)酒造は、土地の恵みである米と水を大切にする酒蔵。主要銘柄の「櫛羅(くじら)」は酒蔵のある地区の名前で、葛城山の伏流水と自家栽培した山田錦だけを使う。田は5.3ヘクタールあり、一部を無農薬で育てている。
蔵主の堺哲也さん(58歳)は、山梨のワイナリーで働き、日本酒の世界へ。原料を重視するワイン造りに倣い、風土の力を引き出す日本酒を考えたという。飲み飽きしない綺麗な味わいは、燗付けではふっくらとした旨みが広がる。

千代酒造

御所市大字櫛羅621
電話:0745・62・2301
https://chiyoshuzo.co.jp/
御所|洋食屋ケムリ
地場の食材と地元の酒をペアリング

御所まちで、地酒と創作料理のペアリングを楽しめるのが『洋食屋ケムリ』である。
「御所の日本酒は総じてフルーティなので、醤油や味噌など地元の調味料や吉野本葛を用いた軽やかなフレンチによく合います」と話す料理長の和田勝太さん。
唎酒師(ききざけし)が選んだ地酒は、大和野菜などをたっぷり使った前菜はもちろん、繊細な魚料理や旨みの強い倭鴨(やまとがも)などの肉料理にもしっかり寄り添う。地元でなければ味わえない限定酒もあり、その妙味をじっくり堪能したい。
洋食屋ケムリ

御所市西柏町1296
電話:050・3196・4077
営業時間:11時30分~15時(最終注文14時)、18時~22時(最終注文20時)
定休日:火曜、水曜(祝日の場合は営業)26席。
交通:JR和歌山線御所駅から徒歩約10分

取材・文/関屋淳子 写真/奥田高文

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