そもそもは江戸初期に、徳川家康が江戸から地方への道路網として整備した「五街道」。その五街道を歩いて旅する「街道歩き」が、ひそかなブームになっているという。
中でも人気のルートが、東京・日本橋から京都・三条大橋までを結ぶ「東海道」だ。十返舎一九の滑稽本『東海道中膝栗毛』でおなじみの街道である。
東海道の全長は約492km。これだけの距離を歩き切るのは大変なことだと思われるかもしれないが、何も一度に歩き切ることはない。区間を決めて、何日かに分けて歩けば良いのだ。
今回は、街道歩きのツアーを開催しているクラブツーリズムの角田さんに、「東海道歩き旅」の4つの見どころを教わった。
■1:東海道のスタート地点「日本橋」
現在は、オフィスビルが建ち並び、金融の街としても知られる日本橋。「すべての道は日本橋に続く」と言われるように、かつては五街道の起点であった。
かつての様子は、歌川広重の浮世絵『東海道五十三次 日本橋』で垣間見ることができる。朝焼けの中、日本橋を通るのは、参勤交代の大名行列だ。江戸に繰り広げられたであろう情景を思い浮かべながら歩くのもまた、街道歩きの醍醐味である。
「一見、何も残っていないような都会の喧騒の中にも、歴史的に重要な史跡を見ることができます。普段素通りしてしまっていた場所を解説付きで歩くことで、新しい発見を楽しむことができます」(角田さん)
■2:昔ながらの石畳の道「箱根旧街道」
箱根湯本から三島にかけて続く箱根旧街道。森林の中を、昔ながらの石畳の道が続いている。
「箱根峠は、天下の剣と呼ばれる東海道最大の難所です。歩きにくい石畳の道が続きますが、晴れの日に見える富士山の姿や、旅仲間と一緒に励ましながら越えた道のりは、達成感のあるとても思い出深いものになるはずです」(角田さん)
■3:世界最長の木造の橋「蓬莱橋」
静岡県の大井川に架かる蓬莱橋は全長897.4mもあり、世界最長の木造の橋としてギネスブックにも掲載されている。橋の長さの897.4mであることから、語呂合わせで「厄なし」となることや、「長い木の橋」が「長生きの橋」に通じることから、縁起の良い橋としても人気だ。
「『箱根峠は馬でも越せど、越すに越されぬ大井川』の文言で有名な大井川は、江戸時代、増水によって渡れなくなる事が多くありました。橋が架けられたのは明治期ですが、生活路としても重宝され、現在では観光名所として親しまれています。ツアー中にも実際に歩きますが、まっすぐに伸びる橋や、眼下の大井川の広さに迫力を感じます」(角田さん)
■4:江戸時代の風景が色濃く残る宿場町「関宿」
三重県の関宿は東海道五十三次47番目の宿場町。旧東海道の宿場町のほとんどがかつての町並みを失った中で、唯一歴史的な町並みを残していることから、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。
「観光地化、整備化が進んでいると思われがちな東海道ですが、関の宿場町にはまるで江戸時代にタイムスリップしたような街並みが現在もしっかりと残されています。古代からの交通の要所であり、伊勢参りの旅人や、参勤交代の大名たちがとどまったことで賑わいをみせていました。江戸時代の建物が200軒余り残された街並みは、東海道を代表する見所のひとつです」(角田さん)
以上、「東海道あるき旅」の4つの見どころをご紹介した。
かつては「お伊勢参り」に行くために、江戸っ子たちも歩いたという東海道。当時の人々と同じように、自分の足で歩いて旅してみてはいかがだろう。
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文/オノハルコ(晴レノ日スタヂオ)