ウィズコロナ社会になった今、旅行の楽しみ方も多様化してきています。オンラインバスツアーも徐々にですが、その認知度も広がり、旅行の楽しみ方の一つとして一定のポジションを得始めました。各旅行会社によって、ツアーの内容も創意工夫がされてきており、各社独自の特徴が出てきています。

秋本番を迎え、ぶどうの収穫が進み、ワインの新酒の販売を間近に控えた今、ワイナリーを巡る、この季節にぴったりな企画 「山梨ワイナリー巡りオンラインバスツアー」 が<サライ×HIS×渋の会(東急プラザ渋谷) >のトリプルコラボで行われました。

この企画の目玉は、ワインの国・山梨の選りすぐりのワイナリーを巡ること、そして専門家と生産者のリアルな会話を聞きながら、ワインを実際に自宅で味わえるところです。

今回は、このオンラインバスツアーに参加し、山梨ワインの魅力を味わってきましたので、その模様をレポートします。

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■オンラインバスツアーを楽しむために、すべきことは?

さて、“オンラインバスツアー”と一口に言っても、“オンライン”という言葉を聞くだけで苦手意識や「ちゃんと繋がるかしら…?」などといった不安を持つ方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。参加者を見ている限りにおいて、繋がらないという方はいませんでした。ただ、バス車内の雰囲気を演出する壁紙をうまく設定できなかったり、音声が聞き取れなかったり、細かな設定に手間取っている方は何人かいました。

セットアップがうまくできず出発がやや遅れるといったような場面もありましたが、それは実際のバスツアーでも出発時間に遅れる人もいたりするので、接続で遅れるというのはオンラインバスツアーならではのご愛嬌といった感じではないでしょうか。

「山梨ワイナリー巡りオンラインバスツアー」は、HISの深澤さんが進行をしてくださいました。

オンラインバスツアーへ初めて参加をする場合には、オンラインの準備や事前知識を備えていた方が余裕を持って楽しめます。「オンラインは初めてで不安…」という方は、ガイドさんが丁寧に、操作方法を説明してくれますので、 出発時間より早めに接続し、オンライン乗車をしておくことをおすすめします。

■日本のワイン造りを知ることができる注目の山梨ワイナリー

今回のツアーはワイナリー巡りがメインテーマとなっていて、注目度の高い3つの山梨ワイナリーをじっくりと巡ることができました。今回訪れた、丸藤葡萄酒工業、MGVs(マグヴィス)ワイナリー、ルミエールワイナリーについて、それぞれご紹介していきましょう。

▷シュール・リー製法で甲州ぶどうの旨みを引き出す、丸藤葡萄酒工業

写真左が丸藤葡萄酒工業の大村春夫オーナー。

初めに到着したのは、「丸藤葡萄酒工業」です。ひんやりとした空気が漂ってきそうな重厚感のある地下貯蔵庫にあるテイスティングルームから、大村オーナーのお話をおうかがいしました。

丸藤葡萄酒工業は、親子四代にわたりワインを造り続けている歴史あるワイナリーです。創業当初から辛口ワインにこだわり、その味わいには定評があります。

今回のツアーで楽しんだのは、2018 ルバイヤート甲州シュール・リー(720ml)。溌剌とした香りが特徴で、大村オーナー曰く、「これからの時期は生牡蠣との相性がいい」とのこと。

あらかじめ自宅に届けられているワインを開けて、参加者の皆さんと乾杯をして味わいました。中には準備万端、料理を用意して、ワインを楽しむ方もいらっしゃいました。また、チャットでは「とても豊かな味わいで美味しいです」といった感想も聞かれ、こうした自宅でリラックスした楽しみ方ができるのもオンラインバスツアーの魅力ですね。

▷山梨の地の恵みをそのままワインに、MGVs(マグヴィス)ワイナリー

写真左から、ワイン著書が有名な鳥海美奈子氏、MGVsワイナリーの松坂浩志社長と保坂氏。

次に訪れたのは、MGVs ワイナリーです。ドローンを使って上空からの広大な農園風景の映像を眺めながら、半導体製造会社であるMGVsが、ワイン製造を手掛けるまでのプロセスや、その思いについて、松坂オーナーからお話をおうかがいしました 。

田園風景の中に広がる、ぶどう畑を一望しました。
写真は、MGVsワイナリー本社の上空から。

MGVs ワイナリーでは、「甲州」「マスカット・ベーリーA」の日本固有品種をあえて使用し、さらに山梨の地にこだわった、ワイン作りへの情熱を感じ取ることができました。

今回のツアーで味わったのは、K131 勝沼町 2018(750ml)。甲州ぶどうらしいフレーヴァーが感じられます。

MGVsでは、サライでもワイン記事を執筆する鳥海美奈子さんがナビゲーターとなり、ワインにまつわる普段は聞けない話を紹介してくれました。

▷1885年創業、今年135周年を迎える老舗・ルミエールワイナリー

写真左から、人気ワインスタイリストの大野明日香氏、ルミエールワイナリーショップの酒井店長。

ルミエールワイナリーは、石造りの地下セラーからのライブ中継でした。ワインが発酵する時に生まれる自然な泡(炭酸ガス)が管(発酵栓)を通っていくときの音も実際に聞かせてもらい、その音色はとても心地のいい音でした。参加者の方からは「樽からの音が聞けて貴重な体験ができました」という感想が出ていました。

ルミエールワイナリーでは、人気ワインスタイリストである大野明日香氏がナビゲーターとなって、深みのある話を引き出してくれました。非常に落ち着いた語り口調と対応が乗車した人の満足にもつながり、バスツアーの魅力を引き立てていました。

ここでも石蔵で発酵されたワインが参加者の自宅に届いていたので、飲みながらツアーは進行しました。



石蔵和飲 2019 (750ml)。大野氏曰く「チャーミングな味わい」のワインです。

各ナビゲーターの方が、実際には味わえない雰囲気を専門家ならではの絶妙な言葉で伝えてくれたおかげで、リアルとオンラインとの差である臨場感を補い、オンラインバスツアーの魅力を高めてくれました。

この「山梨ワイナリー巡りオンラインバスツアー」は、新宿発のリアルバスツアー(11月27日(金)、12月17日(木)に催行)となって実現することになりました。気になる方はぜひ下記の情報をチェックして見てください。

詳しくはこちら

公式ホームページ:https://www.his-j.com/branch/hills-shibuya/
※メールでのお問い合わせも承っています。
mail:hisb21a@his-world.com

■気になる、2020年の山梨ワインの出来は?

「今年のぶどうの出来は?」と、オンラインバスツアーでも多くの方が気にしていました。各ワイナリーのお話によると、今年は7月の長雨の影響を大きく受けたようです。しかし、その長雨を耐えたぶどうは、しっかりと熟したぶどうが多かったとのこと。「自然が、良いぶどうと悪いぶどうの選別をしてくれました」という声も聞かれました。そのぶどうを美味しいワインにできるかどうかは各ワイナリーの腕の見せ所。楽しみに発売を待ちましょう。

今年のぶどうはいつも以上に丁寧に収穫が行われたそうです(丸藤葡萄酒工業の収穫の様子)。

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今回のツアーは、旅情感を味わうという点では実際のバスツアーに比べるとやや物足りなさがありましたが、山梨ワインの歴史を知り、日本ワインへの造詣を深めるという点においては、オンラインバスツアーならではの魅力ある内容になっていました。オーナーや生産者、専門家の話を自宅でワインを飲みながら、じっくり聞けたので、実際に訪れる以上に、短い時間で、山梨ワインへの深い知識を得られた方もいたのではないでしょうか。

参加した方たちは、ワイン好きな人たちばかりということで、ワインの話で大変盛り上がり、「こんなに楽しめるとは思いませんでした。じっくりお話もうかがえ、充実した時間でした」「山梨ワインで日常が特別な日常になりそうです」「美味しいワインをありがとうございました」というような声が聞かれました。

現在、各社で様々なオンラインバスツアーが行われています。ただ、漠然とオンラインバスツアーに参加すると、思惑違いになることもあるかもしれません。オンラインバスツアーならではの特徴を事前に確認し、「何を期待するか、何を目的とするか」ということをより明確にして、ツアー選定するのが良いでしょう。そして、その体験を踏まえて、実際にリアルのツアーに参加すれば、より旅行が充実したものになるはずです。

取材・文/末原美裕、貝阿彌俊彦(京都メディアライン)

 

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