血のつながりがないことをいつ伝えればいいのか、今も決められずにいる
長女が小学生に上がった頃、さらに何も知らないご近所から、世間話の延長で言われることがあったとか。
「当然ですが、私にどんどん似ていなくなっていくんです。息子が私にそっくりなこともあり、それが余計にわかってしまって。それに顔のパーツとかならまだしも、妻の元旦那は地黒というか、肌が日焼けしやすいタイプだったようで、それを娘が受け継いでいて。息子は私に似て色白と、ここも正反対だったんです。少しでも色が白くなるように娘に日焼け止めを渡したこともあるんですが、小学生の女の子が日焼けを気にするわけもなく……。
家の近所の公園によく家族で遊びに行って妻のママ友に会う度に、『娘さんはお母さん似、息子さんはお父さん似なんですね』と言われる。私から見ると、娘は妻にもあまり似ていないんです。周りに気を遣わせているのかもと、こんな些細な一言にも敏感になっていましたね」
そして、血のつながりがないことをいつ娘に伝えればいいのか。大輔さんは今もその時期を決められずにいるそう。
「一番良くないのが、このまま隠し通して、娘が自分で気づいてしまうパターンです。娘とは普通養子縁組なので、戸籍を見られたら一発でバレてしまいます。だからどうしても私の口から伝えなければいけないと思っています。その時期については妻とよく話していますが、多感な時期は避けたほうがいいのか、小さい頃から隠すようなことではないのか……。決められずにいる理由は、この話があまり進まないのもあるんです。私の気のせいかもしれませんが、この話になると妻が少し辛そうに見えて……。先延ばし先延ばしになってしまっています」
現在も子どもたちはその事実は知らないとのこと。最後に酷な質問ですが、今も実子と同じように愛情を持って接することができているのか、聞いてみました。
「もちろん、私自身はそのつもりです。でも、無意識のように何か違いを作っているかもしれないと、思ってしまうこともあります。私自身娘を強く叱ったことはまだありません。娘が反抗期に入って口ごたえをされた時、しっかり叱ることができるのか。どこか遠慮してしまわないか、小さな不安がつきまといます」
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。