「もっと甘えたかった」。妊娠で見えた、妹への長年の嫉妬
そのままの関係のまま10年近くが経ち、両親と姉との関係に変化があったのは、侑里さんの妊娠だったとか。
「私が結婚して妊娠する前に、姉はすでに結婚していたし、その時には2歳の子供もいました。その頃には両親とも私とも完全に疎遠ではなく、付き合いは一応あったんです。でも、どこか嫁姑みたいな距離感でしたね。
当時私は妊娠してつわりがひどかったので、母に付きっきりで身の回りの世話をしてもらっていたんです。そのことを知って、姉は母親に『妹をかわいがってばかり』と初めて私に対しての嫉妬を口にしたそうなんですよ。その後は今までどんなに私に嫉妬していたかを母親に泣きながら伝えてきたみたいです。その一件から、母親と姉の関係は徐々にですが、修復していきました」
その話を聞いて、侑里さんも思うところがあったそう。
「私から見たら、ずっと姉はやりたいことをして、言いたいことをそのまま口にしていると思っていました。好き勝手やって、気を遣っている私の身にもなってほしいと。でも、姉はずっと私に嫉妬していたんですよね。この話をもし子供の時に聞いていたら、私も母親を取られないように、姉妹仲はこじれていたかもしれませんね。きっと今のように素直に受け止めることはできなかったと思います」
現在姉妹はともに2人の子供を授かり、年齢も近いことからよく子供たちを一緒に遊ばせていると言います。
「遊ばせている場所はもちろん実家です。両親はすでに仕事を引退して、孫とよく遊んでくれています。あれから姉はよく子供を預けにくるようで、私よりも確実に親に甘える頻度は多くなっていますね。私が母親に何かお願いしようとすると『侑里はもう十分親に甘えたからダメ』と言ってきたりするんです(苦笑)。今さらながら、母親の取り合いに発展しちゃうかもしれませんね」と笑顔で語ります。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。