築けなかった新しい家族のかたち、そしてずっと与えられていた無償の愛

毎朝一生懸命作ったお弁当は捨てられていた。その事実を知り、夫に相談したみゆきさんでしたが、現実はさらに冷酷だったと語ります。

「お弁当は中身とお弁当箱に分けられて、中身だけがごみ箱の底のほうに捨てられていました。それに気づいた時、悲しくて悔しくて泣いてしまいましたよ。でも、そのことを娘に問い詰めることはできませんでした。娘に対して酷い言葉を言ってしまいそうで怖かったんです。

私は夫が帰ってくるまでは気づいていないフリを続け、夫だけに相談しました。そしたら夫は私ではなく娘のことだけを考えて、『そこまでしてしまうほど、お前が追いつめたんだろう』と言ってきました。愕然としましたよ。今まで頑張ってきたものはまったく意味がなかったんだなって。そこからは自分の家なのに、気持ちを押し殺して過ごすことが一番うまくいく方法なんだなって悟りました」

その後も数年間、結婚生活をそのまま続けたものの、36歳の時に離婚。両親の反対を押し切ったこと、母親になりきれなかった自分を認められなかったこともあり、なかなか離婚に踏み切れずに結婚生活は6年半にも及びました。離婚してもいいんだと、背中を押してくれたのは両親でした。

「私が気持ちを押し殺すようになって、徐々に家族仲は傾いていきました。娘にとっても今の環境がよくないことはわかっていたから、家を出たこともありました。でも、私からは離婚したいなんてどうしても言えなくて。何もできない私を見て、両親は『娘を解放してほしい』と夫に頭を下げてくれたんです。両親に連れられて実家に戻った時、やっと我が家に帰ってこれたと、心の底からホッとしたことを覚えています」

みゆきさんはその後しばらくは実家で生活を続け、40歳を過ぎて今の旦那さんと出会い、再婚。もう二度と結婚しないと思っていたみゆきさんの気持ちを変えたのも、両親だったとか。

「実家に居る時に、母親からすごく温かい言葉をもらったんです。『あんたが選んだ人生をこれからも応援する。無理だと思った時には全力であんたの味方になるから』って。次の結婚に二の足を踏んでいた私にその言葉は進むことを教えてくれました」と笑顔で語ります。

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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