遠回りしたことで両親の偉大さに気づくことができた
結婚は両親も喜んでくれたと言います。その後無事女の子を出産してしばらくは子育てに追われますが、ネイルに興味を持ち、両親の協力を得て資格を取得します。
「ネイルは芸大を目指したキッカケと同じような感じなんですが、友人がネイリストとして生き生きと仕事をしている姿に感化されてやりたくなってしまったんです。結婚して子どももいて、それでなくても何ひとつやりたいことを貫けていなかったので、その話はただの希望という軽い感じで実家に帰省した時に話しただけでした。でも、両親はやってみたらと背中を押してくれて。私の夫がいる時にその話を出して、夫も賛成してくれるように仕向けてもくれました。子どもの世話も協力するとその場で当然のように言ってくれたんです」
お店で勤めることを経て、友人とともに独立。そのことを両親、旦那さまのおかげだと語ります。そして現在の子育てでも多くの助言をもらっているとか。
「子どもが高校生になって、進路の相談を受ける時にはとりあえずでもやりたいこと、行きたい学校を全力で応援しようと思っています。その考えを持つことができたのは、両親のおかげです。振り返ると父親は一度も私がしたいと言ったことに反対しなかったんですよね。それにその思いをずっとくんで父親を立て続けた母親の偉大さも、自分が母親になって痛いほどよくわかりました。母親が父親の存在を私たちに示し続けたことで、あまり家族のことに参加しないし怖くもなかった父親の威厳がずっと保たれていたと思うんですよ。私もそれを学んでいたから、娘の前では夫の悪口だけは言わないようにしています」
美輝さんはネイルの仕事をしている中で一番嬉しかった思い出は?と聞くと、「数年前に亡くなった父方の祖母のネイルをした時に父親から『ありがとう』と言ってもらえたこと」と笑顔で語ります。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。