明治維新後、日本社会の近代化が急速に進められる中で、岡倉天心を中心として明治20年(1887)に東京美術学校が設立されました。以後、日本美術の伝統を継承しながら西洋美術の真髄を移植することを主要な課題として、日本の近代美術を開拓してきました。この東京美術学校を前身として、戦後の昭和24年(1949)、東京藝術大学が創立されました。明治から現代に至る長い歴史の中で、東京藝術大学には日本の近代美術の貴重な作品が数多くコレクションされています。

高橋由一≪美人(花魁)≫〔重要文化財 1872年 東京藝術大学蔵〕3月23日より展示。

高橋由一≪美人(花魁)≫〔重要文化財 1872年 東京藝術大学蔵〕3月23日より展示。

矢崎千代二≪教鵡≫〔1900年 東京藝術大学蔵〕

矢崎千代二≪教鵡≫〔1900年 東京藝術大学蔵〕

名古屋市美術館では、3月5日(土)から4月17日(日)まで、東京藝術大学コレクションの中から、明治・大正・昭和三代にわたる日本近代美術の女性像を紹介する「東京藝術大学コレクション 麗しきおもかげ 日本近代美術の女性像」展を開催します。

本展では、洋画家・高橋由一(たかはし・ゆいち)の初期の代表作で国の重要文化財に指定されている『美人(花魁)』や、近代日本画の父と称される狩野芳崖(かのう・ほうがい)の『悲母観音』から、東京美術学校日本画科の画学生たちが渾身の力を込めて描いた卒業制作まで、多彩な女性像を紹介します。本展の見どころを、名古屋市美術館の学芸員、山田諭(さとし)さんにうかがいました。

「第1部では、東京藝術大学コレクションの中から厳選された作品50点に、名古屋市美術館が所蔵する代表的な作品11点を加えて、総計61点の作品により、日本の近代美術における女性像の変遷を紹介します。第2部では、東京美術学校の卒業制作の中から女性像を描いた作品40点を初めて紹介します。今回の展覧会は名古屋展のみの開催となります。重要文化財を含めて、日本近代美術の名品が目白押しですので、ぜひご鑑賞ください」

かつて美術家たちが愛し描いた「麗しきおもかげ」は、今の私たちの視線も魅了してくれることでしょう。

【「東京藝術大学コレクション 麗しきおもかげ 日本近代美術の女性像」開催要項】

会場/名古屋市美術館企画展示室1・2
会期/2016年3月5日(土)~4月17日(日)
住所/名古屋市中区栄2-17-25(芸術と科学の杜・白川公園内)
電話番号/052-212-0001
料金/一般1300円 大高生800円 ※中学生以下無料、この展覧会の入場券の半券で常設展の鑑賞も可
開館時間/9時30分から17時まで、金曜日は20時まで(入館は閉館30分前まで)
休館日/月曜日(ただし3月21日は開館し翌22日休館)
アクセス/地下鉄東山線・鶴舞線伏見駅5番出口より南へ徒歩約8分、鶴舞線大須観音駅2番出口より北へ徒歩約7分、名城線矢場駅4番出口より西へ徒歩約10分
名古屋市美術館の公式サイトはこちら

 

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