京都・眞葛ヶ原(まくずがはら)の陶工の家に生まれた初代・宮川香山(みやがわ・こうざん  1842-1916)は、明治3年に横浜に移住して陶磁器の製造を始め、眞葛窯を開き、表面に精密な彫刻を彫り込んだ「高浮彫(たかうきぼり)」と称する新しい技法を生み出しました。高浮彫が目を引く「眞葛焼(まくずやき)」は、フィラデルフィア万国博覧会はじめ国内外の博覧会で賞賛を受けます。明治10年代半ばからは磁器の技法、釉薬(ゆうやく)の下に絵付けをする「釉下彩(ゆうかさい)」を修得し、ここでも高い評価を受けます。
初代宮川香山『高浮彫南天ニ鶉花瓶 一対』[明治時代前期 田邊哲人コレクション]

初代宮川香山『高浮彫南天ニ鶉花瓶 一対』(明治時代前期 田邊哲人コレクション)

初代宮川香山『釉裏紅赤雲龍文花瓶』[明治時代中期 田邊哲人コレクション]

初代宮川香山『釉裏紅赤雲龍文花瓶』(明治時代中期 田邊哲人コレクション)

そんな香山の眞葛焼半世紀の作品約140点を紹介する「没後100年 宮川香山」展がサントリー美術館で開催中です。本展の見どころについて、サントリー美術館学芸員の安河内幸絵さんにうかがいました。

「高浮彫によって表現された鳥たちの羽の並びぐあいや、蓮の花、蜂の巣などは、思わず手触りまで連想してしまうほど、鮮やかな視覚体験をさせてくれます。また、釉下彩の花瓶の傷ひとつないみずみずしい釉の下に表わされた、いとも繊細な柳、龍、藤の花、鶏などは、ため息が出るほどの美しさです。超絶技巧の限りを尽くしたやきものによって、日本の美意識の多様さや奥深さを表現し、大きな感動を与えてきた香山に、尊敬と感謝の気持ちが湧きました」

本展は、大阪市立東洋陶磁美術館(4月29日~7月31日)、瀬戸市美術館(10月1日~11月27日)に巡回されますので、ぜひ一度足をお運びください。

サントリー美術館の公式サイトはこちら 

【「没後100年 宮川香山」展  開催要項】

会期/2016年2月24日(水)~4月17日(日)
会場/サントリー美術館
住所/東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階
電話番号/03-3479-8600
料金/一般1300円 大学・高校生1000円 
※中学生以下無料、障がい者手帳所持者と介護者1名は無料
開館時間/10時から18時まで、金・土曜日、3月20日は20時まで(入館は閉館30分前まで)
休館日/火曜日(ただし4月12日は開館)
アクセス/都営地下鉄大江戸線六本木駅出口8より直結、東京メトロ日比谷線六本木駅より地下通路にて直結、東京メトロ千代田線乃木坂駅出口3より徒歩約3分

 

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