江戸時代の長い鎖国が解けて、西洋との交流がはじまった明治初期。日本でも西洋美術の手法で絵を描く人々が現れました。彼らは油絵具や水彩絵の具などを使って、陰影を施して立体感を表し、目に映るままの写実を重んじた絵を描き、それを「洋画」(西洋風な絵画)と呼ぶようになりました。
一方で、江戸時代から続く漢画(中国に学んだ絵画)、大和絵(日本の伝統的な絵画)や浮世絵は、西洋絵画の刺激もあって次第に融合し一つの流れとなって、「日本画」と呼ばれるようになりました。
日本画と洋画、この二つの概念が生まれたのが明治時代でした。その明治から昭和に至るいわゆる近代日本において、日本画と洋画はどのような変遷を遂げていったのか。その流れを垣間見ることができる展覧会「絵画の潮流展 エール蔵王 島川記念館所蔵 秘蔵の名品」展が、横浜のそごう美術館で開かれています。(~2017年4月6日まで)
本展は、仙台の実業家・島川隆哉氏が20年余りかけて収集した日本画・洋画・工芸品のコレクションを公開するエール蔵王「島川記念館」の所蔵品から日本画と洋画の名品を厳選して、明治から昭和の画家たちが歩んだ足跡を探るものです。
本展の見どころを、企画協力のアート・ベンチャー・オフィス ショウの市川詠子さんにうかがいました。
「本展は、現代日本において、明治から昭和の画家たちが歩んだ足跡を見直し、社会の変化のなかで果たす美術の役割を改めて考えるよい機会になると思います。
日本画では横山大観はじめ、東山魁夷・杉山寧・村上華岳・速水御舟・片岡珠子・田中一村・加山又造・平山郁夫ら、洋画では高橋由一はじめ、青木繁・岸田劉生・梅原龍三郎・安井曾太郎・佐伯祐三・小磯良平ら、誰もが知る近代日本の画家たち34名、約60点の作品を紹介します」
伝統を継承しつつ新たな挑戦によって生み出された日本画、写実と立体的な表現を求めた洋画、それぞれの先人たちの足跡をじっくりご鑑賞ください。
【「絵画の潮流展 エール蔵王 島川記念館所蔵 秘蔵の名品」展】
■会期:2017年3月4日(土)~4月6日(日)
■会場:そごう美術館
■住所:横浜市西区高島2-18-1 そごう横浜店6階
■電話番号:045・465・5515
■開館時間:10時~20時(入館は19時30分まで)
■休館日:会期中無休
■入館料:大人1000(800)円 大高生800(600)円 ( )内は20名以上の団体料金及び障がい者手帳各種持参者と同伴者1名の料金、中学生以下無料
■アクセス:JR横浜駅より徒歩約3分
■ウェブサイト:http://www.sogo-seibe.jp/common/museum
取材・文/池田充枝