結婚のけじめとして、DR30を手放すことを決意
初めての大きな事故、そしてHR30を失ったことに落ち込む健一さん。むち打ちが癒える頃に気持ちを持ち直し、次のクルマを探します。
「購入のしやすさもあって、日産の初代『プリメーラ』か、スバルの初代『レガシィ』をと考えたのですが……。HR30とは納得して別れた訳ではないので、どうしても未練が残っていました。そこで「今度こそDR30に乗るぞ!」と心に決めました」
当時、6代目スカイラインのトップグレードであるDR30は中古車人気が高く、程度の良い個体の入手は、とても難しい状況にありました。それでもあきらめずに探し続け、ついに、とある中古車店から「和歌山県の中古車店に在庫がある」と教えてもらいます。
「和歌山県の中古車店に連絡を取ると、DR30の程度はとても良いとのことでした。本当は現車を確認したかったのですが、この機会を逃したらもう二度と手に入らない気がしたので、その場で購入の意思を伝えました」
はるばる和歌山県より陸送され、無事に納車されたDR30。以前に乗っていたHR30はパワーステアリングやパワーウィンドウをはじめ、様々な快適装備が奢られていました。しかしDR30はノーマルステアリングにレギュレターハンドル(手動式)のウィンドウと、シンプルな仕様で健一さんを驚かせます。
念願だったDR30のオーナーとなり、時に一人で、時にのちの奥様と一緒に、様々な場所へと出かけた健一さん。そして納車から2年を経た23歳の時。奥様と結婚するため、大切にしていたDR30を手放す決心をします。
「ずっと乗り続けるつもりでいたので、工具や補修、交換用のパーツも集めていたのですが、これらもDR30と一緒に売ってしまいました。今、思えばDR30を売らなくても、なんとかできたと思うのですが……。当時は気負っていたというか、まぁ、若かったんですね。何かと入り用になりますし、結婚後はクルマにかかる出費も抑えたい。私なりのけじめとして、DR30より結婚と、その後の生活を選びました」
DR30を売却した後、健一さん新たなクルマを購入することなく、ひたすら仕事に打ち込み、大黒柱として懸命に家庭を支えます。
「スカイライン」と「西部警察」は一生の憧れ。ついに購入した『ER34』を『マシンRS』風の赤黒ツートンカラーに再塗装!【後編】へ続きます!
取材・文/糸井賢一(いといけんいち)
ゲーム雑誌の編集者からライターに転向し、自動車やゴルフ、自然科学等、多岐に渡るジャンルで活動する。またティーン向けノベルや児童書の執筆も手がける。