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クルマとの別れはいつも「ごめんね」ばかり(テリー伊藤のクルマコラム 第2回)

夕刊サライは本誌では読めないプレミアムエッセイを、月~金の毎夕17:00に更新しています。水曜日は「クルマ」をテーマに、演出家のテリー伊藤さんが執筆します。

文/テリー伊藤(演出家)

こんにちは、テリー伊藤です!
クルマを愛してやまない僕が、サライ読者の皆さんにその魅力をお伝えするべく始まったこの連載。第2回目は、僕がこれまでに乗ってきたクルマのうち、特に別れが辛かったものを紹介したいと思います。

愛したクルマたち「いつまでも忘れないよ」

■「RX−7よ、ごめん、腕を鍛えたらまた会おう」

近頃、マツダのクルマがすごく人気ありますよね。燃費がよくて音も静かなディーゼルエンジンは乗っていて楽しいし、デザインも垢抜けていて、おしゃれ。もともと技術的にはすごいものを持っていたんだけど、昔はもっと男っぽいというか、硬派な自動車メーカーという印象でした。それで僕は若い頃、当時のマツダを代表するスポーツカー、RX-7に乗っていたんです。初代の。

世界でマツダだけが量産化に成功した、コンパクトなロータリーエンジンを収めたボンネットはとても薄くて、ヘッドライトも当時“スーパーカーライト”と呼ばれた、リトラクタブル式。いかにもスポーツカーらしいデザインで、カッコよかったなあ。

走りも最高。ロータリーエンジンはモーターみたいにグィィィ~ン!って高回転まで回り、それはもう底なしの速さでした。だけど、あまりに速くて、腕が追いつかなかった。僕は昔も今も、手に入れたクルマの性能を出し切ってみたいという気持ちで乗っているんですが、RX-7はダメでしたねえ……。

「ごめん、腕を鍛えたらまた会おう」と、そんな気持ちで手放してしまった僕は、本当に甲斐性のないオトコです。

■「三菱・ジープよ、ごめん、私は戦士にはなれなかった」

あと、RX-7とは別の意味で手強かったのが、三菱・ジープ。アメリカのウイリス・ジープを三菱がライセンス生産していたやつです。もともと軍用車として設計されているから、快適性なんてこれっぽっちも考えられてなくてね~。シートはスライドしないし乗り心地もガチガチで、遠出すると目的地に向かうまでにヘトヘトになっちゃう。

それでもなんとか頑張って乗っていたけど、最後は疲れ果ててしまって……。この話は前回も書いたけど、手放すときは申し訳ない気持ちでいっぱいでしたよ。

でもね、手強いけど楽しいクルマでした。ジープは戦場で身を隠すためにフロントガラスを倒せるようになっていて、そのまま走ると風が顔にビュービュー当たって、痛いのなんの。でも慣れると、むしろそれが快感だったりしてね。「これはバイクなんだ!」と思い、ニットキャップとゴーグルを付けて走ってました。

ジープは今も人気があって、専門店まであるんだけど、そこの前をクルマで通るたびに当時を思い出します。僕のように負けることなく、今でもジープで風を切って乗っている人はスゴイ! サムライですね。

振り返ると、昔乗っていたクルマは、辛いことも含めて思い出だらけ。欲しかったけど買えなかったというのも思い出だし、昔憧れていたクルマを中古車で手に入れて、自分の色に染めて行く楽しみもあります。昔と比べて中古車販売店が増えて、売り買いがしやすくなっているのも夢を後押ししてくれます。サライ世代の皆さんも若い頃を思い出して、1台買ってみては? きっと楽しいですよ。

手に入れたら、ちゃんと世話してあげてくださいね。汚れたら洗車してワックスをかけて……。

そうそう、ワックスはいまどきの液体タイプじゃなく、固形タイプでね。夏はすぐ硬くなるから大変なんだけど、その代わり、ボディに付いた傷をみつけやすいというメリットがあるんです。そんな苦労も含めて、思い出深いカーライフを作ろうじゃないですか。

では、また次回!

【今週のテリー・カー(1):マツダ・サバンナRX-7】

レースでも活躍したサバンナ(輸出名:RX-3)の後継モデルとして1978年に登場した、初代サバンナRX-7。エンジンは2ローターの自然吸気(130馬力)に加え、マイナーチェンジの際にターボモデル(165馬力)が追加された。

【今週のテリー・カー(2):三菱・ジープ】

ウイリスと三菱の提携によって、1953年に警察予備隊向けに生産が始まった、国産ジープ。民生用にも販売され、ロング、ショートボディ、ソフトトップなど豊富なバリエーションを揃え、基本設計を変えることなく1998年まで生産された。

文/テリー伊藤(てりー・いとう) 昭和24年、東京生まれ。演出家。数々のテレビ番組やCMの演出を手掛ける。現在は多忙な仕事の合間に、慶應義塾大学 大学院で人間心理を学んでいる。

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