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  1. オリックス・リビング社長、森川悦明氏。「グッドタイム リビング センター南」にて撮影。

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100万円で『ちょっと違う世界』を買おう(テリー伊藤のクルマコラム 第10回)

夕刊サライは本誌では読めないプレミアムエッセイを、月~金の毎夕17:00に更新しています。水曜日は「クルマ」をテーマに、演出家のテリー伊藤さんが執筆します。

文/テリー伊藤(演出家)

こんにちは、テリー伊藤です!

僕はクルマを買うと、試しに高速道路を走ります。運転に自信のある方は峠を攻めに箱根方面に行くことが多いでしょうが、僕の場合は首都高速とか湾岸線が中心。スポーツカーをテストするようなタイプじゃないので、普段走る道で十分なんです。あっ、そういえば、以前、私が実際に買った面白いクルマがあったのを思い出しました。前回に続いて、今手に入れると人生が2倍面白くなるニッポンの「ちょいフル中古車」について語ってみたいと思います。

ときには「型にはまらない」そうすればきっと素敵なクルマに出会えます!

■ライトバンの皮を被った狼、ランエボワゴン

サライ世代の皆さんは、三菱・ランサーをご存じですよね? 70年代に生まれたセダンで、見た目は普通なんですけど、レースにも使われてけっこういい成績を残したんです。それで90年代から三菱が本格的にラリーのトップカテゴリーに参戦することになり、パワフルなエンジンを積んだ限定モデルのランエボこと、ランサーエボリューションを発売したんですね。ラリーに出るマシンは1台ぽっきりのスペシャルモデルじゃだめで、市販車、それも一定の販売台数を満たす規定があり、改造の度合いも厳密に決められていますから。それが、すぐに完売しちゃった。

人気はあるし、ラリーではライバルたちがどんどん速くなっていくので、ランエボもⅡ、Ⅲ、Ⅳ…と進化していきました。三菱で一番の人気シリーズとなったランエボは、ラリー参戦が終わったあとも続きましたが、数年前に生産が終わり、そのため中古車は大人気。300万円台は普通で、最終の記念モデルだと500万円以上の値段をつけています。僕は走り屋じゃないし、デッカいウイングが付いているのも好みじゃなく敬遠していたんですが、ステーションワゴンタイプが出まして、これがツボにハマったんです!

パワーは280馬力もあり、それに合わせてボディや足回りも強化してあるんですが、なにせ見た目が商用車チックなワゴンですから、全然目立たない。いわば“ライトバンの皮を被った狼”。しかもシリーズで初めてトランスミッションがATだったこともあり、気負わずに乗るのも悪くないなと思って買ったんです。

走りはスゴかったですよ。だいたい、発進からしてスゴい。当時、僕の家の前は砂利道だったんだけど、いきなりタイヤが空転して砂利が飛び散りましたから! 随分前に手放してしまいましたが、いや~、楽しいクルマでした。何で売ってしまったんだろうと、今でも後悔しています。ちなみにこのランエボワゴン、中古車は100万円台と格安。たくさん荷物が積めるし、カミさんに「俺、ライトバン買うから」とでも言っておけば、文句は言われないはず。砂利道には注意ですけどね!

■宇宙船気分を味わいたいなら、あのクルマ

ランエボほどのパワーはいらないけど、スポーツカーに乗りたいという方には、マツダ・RX-8もいいですね。スポーツカーのRX-7の後継で、エンジンはもちろんロータリー。4ドアだから実用性は高いし、こちらも100万円台で買えちゃいます。「いやいや、テリーよ、それじゃあまりに普通じゃないか」とお怒りの方もいらっしゃることでしょう。それならトヨタ・セラはどうでしょう? イケイケのバブル景気時代に企画されたクルマで、丸っこくてかわいいカタチをしているのに、ドアはスーパーカーと同じ跳ね上げ式という、ヘンテコなクルマでした。なんで跳ね上げ式にしたかというと、キャビンを天井まで曲面ガラスで覆った、キャノピー型のデザインだから。ドアは天井のガラス部分まで一体化されていて、真横ではなく翼のように開くしかないという、未来から来たんじゃないかと思えるクルマでした。

残念ながら、バブル崩壊と共に姿を消しましたが、中古車市場でも特に盛り上がることはなく、今なら100万円でお釣りがくるほど。僕は金魚鉢みたいなキャビンが気に入って、中古で買いました。ボディもシートも黄色にして。宇宙船に乗っているような気分が味わえて、楽しかったですよ。昼は頭が熱くなるけど…… 特に夜のドライブは最高だったな~。ヘンテコなクルマって、僕のようなクルマ変態や熱狂的なファンがいるから、もし手放すときも同じような値段で売れることも多かったりして。ちょっとだけ違う世界を味わえるクルマ、サライ世代の皆さんにもおすすめです!

【今週のテリー・カー(1):三菱・ランサーエボリューションワゴン】

シリーズ初のステーションワゴンボディとして、2005年に発売。ボンネットに空気吸入口があったり、後ろのフェンダーがワイド化されてはいるものの、クルマ好き以外には一般的なワゴンに見えるのが特徴。そのためか中古車市場での人気はそれほど高くなく、手に入れやすい。ちなみに当時の新車価格は約340万円だった(編集部)

 

【今週のテリー・カー(2):トヨタ・セラ】

第27回東京モーターショーに出展された「AXV-Ⅱ」の市販モデルとして1990年に発売。スーパーカーを思わせるガルウィングのドア(※正確にはバタフライドア)とボディ上部がほぼガラスで構成されるグラスキャノピーが特徴。TVCMのキャッチコピーは「未知への翼 とんでるセラ。」スターレットがベースだが、多くの部品が専用設計であることを考えると当時の新車価格約160万円は破格の設定と言える(編集部) ※写真提供:ベストカー

文/テリー伊藤(てりー・いとう) 
昭和24年、東京生まれ。演出家。数々のテレビ番組やCMの演出を手掛ける。現在は多忙な仕事の合間に、慶應義塾大学 大学院で人間心理を学んでいる。

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