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発見された雪舟の幻の作品が山口県立美術館でお披露目へ

取材・文/渡辺倫明

かつて存在が認められていた、雪舟(せっしゅう)の幻の一作がついに見つかり、間もなく公開される。日本を代表する水墨画の巨匠・雪舟の真筆が発見されることは極めて稀であるだけに、要注目の展覧会だ。

雪舟等楊『倣夏珪山水図』一幅、紙本墨画淡彩、30.1×30.8㎝、室町時代。新発見された一作。雪舟は、自らが生きた時代より200年以上も遡る中国の画家・夏珪(かけい)に私淑。山水画のスタイルを確立するために最大の規範とした。日本の水墨画家にとって、当時のトップブランドだった中国画家の作風を描けることは、必須条件だったのだ。個人蔵(山口県立美術館寄託)

新聞等の既報によりご存知の方も多いと思うが、この度、雪舟の真筆が発見され、史上初めて一般に公開されることになった。新たに見出された『倣夏珪山水図』は、雪舟がおよそ550年前に描いた団扇形の作品。

雪舟による同形の作品は少なくとも12図が描かれ、江戸時代まで伝来していたことが研究者の間では広く知られていた。それは、江戸時代前期の狩野派の絵師・狩野常信が、雪舟の団扇形の12図を模写し、巻子仕立てにした『流書手鑑』(東京国立博物館蔵)という作品を残したことによる。

しかも、12図のうちの6図は原本が現存。一般に「倣古図」(過去の名画に倣って描かれた絵画の意)と呼ばれるシリーズで、いずれもが重要文化財に指定され、京都国立博物館、岡山県立美術館に1点ずつ、山口県立美術館と個人にそれぞれ2点ずつが収蔵されているのである。

この度の新出作品が真筆であると鑑定された根拠のひとつも、これら現存6点と常信の模本との距離感、同一性などから導き出された結論であった。

鑑定に当たった美術史家で明治学院大学教授の山下裕二さんは次のように語る。

「常信は落款の書体に至るまでかなり忠実に模写しており、その模本と原本との距離感は既に知られている6図とまったく同様のものでした。何よりこの作品と初めて対面したとき、私は即座に雪舟真筆だという確信をもちました。その後、信頼する雪舟研究者である島尾新氏(学習院大学教授)、山本英男氏(京都国立博物館学芸部長)、荏開津通彦氏(山口県立美術館普及課長)にも実見していただき、同様の見解を示していただいた。40年来の雪舟研究の中で、衆目が一致する真筆作品が出現したのは初めてのことです」

本作は、作品が寄託される山口県立美術館で10月31日より開催予定の『雪舟発見!展』で初公開される(~2017年12月10日まで)。幻の雪舟作品を実見できるまたとない機会。ぜひ現地でご堪能いただきたい。

【展覧会概要】
「雪舟発見!展」
会場:山口県立美術館
■所在地:山口県山口市亀山町3―1

■電話:083-925-7788
■会期:10月31日~12月10日
■開館時間:9時~17時(入館は16時30分まで)
■休館日:月曜(祝日の場合は開館)
■観覧料:一般500円

また隣接する防府市の毛利博物館では、同じく「夏珪スタイル」で描かれた雪舟の代表作で、同館所蔵の国宝『四季山水図( 山水長巻)』を展示する「特別展 国宝」を11月1日より開催。珠玉の雪舟を見る絶好機である。

※この記事は『サライ』本誌2017年11月号より転載しました(取材・文/渡辺倫明)

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