880年の歴史をもつ「おん祭」と、奈良ならではの春日信仰の歴史を伝える展覧会が、奈良国立博物館で開催されています。(~2017年1月15日まで)
古都奈良の一年を締めくくる春日大社摂社の若宮神社のおん祭は、平安末期に関白藤原忠通が五穀豊穣を祈って始めて以来、今日まで一度も途絶えることなく行われている例祭で、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
12月15日の大宿所詣(おおしゅくしょもうで)から18日の奉納相撲・後宴能まで、数々の行事が行われますが、ハイライトは17日の「お渡り式」。巫女集団、芸能集団などが古式豊かな衣装で華やかな行列でお渡りを行います。本展は、おん祭りの歴史と祭礼の様子を絵巻や歴史史料で辿ります。
本展の見どころを、奈良国立博物館・学芸部研究員の斎木涼子さんにうかがいました。
「おん祭は、春日大社の摂社である若宮社の祭礼です。ご祭神である若宮神は、長保5年(1003)、神秘的な姿で現れたと伝えられます。おん祭は長承4年(1135)の若宮社の創建を承け、翌保延2年(1136)に始まったとされ、今年で881年目を迎えます。
祭礼の日、若宮神は御旅所に遷幸し、ここで様々な儀礼が行われますが、祭礼参加者や芸能者が御旅所に詣でる「風流行列」の様子は多くの絵巻に描かれ、その華やかな様子を伝えます。また本年は、江戸時代のおん祭を支えた、奈良奉行所の関わりについてもスポットを当てています」
おん祭と併せて見学すれば、おん祭をより深く理解できます。ぜひご観覧ください。
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【おん祭と春日信仰の美術】
■会期/2016年12月10日(土)~2017年1月15日(日)
■会場/奈良国立博物館
■住所/奈良市登大路町50 奈良公園内
■電話番号/050・5542・8600(ハローダイヤル)
■開館時間/9時30分から17時まで、12月30日・31日を除く金・土曜日は20時まで(入館は閉館30分前まで)
■休館日/月曜日(ただし1月2日、9日は開館)、1月1日(日・祝)、1月10日(火)
■アクセス/近鉄奈良駅より徒歩約15分、JR奈良駅・近鉄奈良駅より市内循環バス(外回り)で「氷室神社・国立博物館」下車すぐ
取材・文/池田充枝
1989年「サライ」