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第69回正倉院展|西域伝来、聖武天皇ゆかりの御物が一般公開中

取材・文/池田充枝

奈良・平安時代の中央・地方の官庁や大寺には、重要物品を納める「正倉」が設けられていました。そしてこの正倉が集まっている一画が「正倉院」と呼ばれていました。当時はあちこちに置かれていた正倉は、歳月の経過とともに消滅し、往時のまま今日まで残っているのは、わずかに旧東大寺正倉院内の正倉1棟のみです。

正倉院宝物は、8世紀半ば、光明皇后が聖武天皇の冥福を祈念して廬舎那仏(大仏)に奉献された聖武天皇のご遺愛品を東大寺の正倉に収蔵したことに始まり、東大寺の文書や寺宝なども加わって、現在、奈良時代の貴重な文物約9000件を保管しています。

正倉院の正倉は、中倉とこれを挟む北倉と南倉からなり、奈良時代の創建時のまま保存され国宝に指定されていますが、宝物は昭和になって建てられた鉄筋コンクリート造りの宝庫に移されており、今日ではともに宮内庁の所管となっています。

そんな正倉院の宝物は、例年秋に奈良国立博物館で一般公開されます。今年も第69回となる「正倉院展」が開かれています(~11月13日まで)

羊木臈纈屏風(ひつじきろうけちのびょうぶ)1扇(北倉42)部分

古都奈良の秋を彩る正倉院展は、毎年異なる特色をもった宝物が出陳されますが、今年は仏・菩薩への献沕(けんもつ)と考えられる品々を含めた仏具類の充実や、佩飾品(はいしょくひん)や帯などの腰回りを飾った品々が多く出陳されるのが特色となっています。

本展の見どころを、奈良国立博物館学芸部工芸考古室長の清水健さんにうかがいました。

「第69回となる本年の正倉院展には、聖武天皇・光明皇后ゆかりの北倉から10件、東大寺への献物や造東大寺司ゆかりの品が伝わった中倉から25件、東大寺の法会用具などが中心の南倉から20件、東大寺に伝来した経巻を納める聖語蔵から3件の、計58件の宝物が出陳されます。

そのうちの10件には初出陳を含んでおり、回を重ねても新たな宝物とめぐり会えるのが、本展の一つの醍醐味となっております。

本年は近年修理を終えた乾漆造の伎楽面 迦楼羅や、調査によって別の宝物(今回出陳の最勝王経帙)の一部であることが判明した組帯残片などが、初めて皆様の前に披露されます。

伎楽面(ぎがくめん)迦楼羅(かるら)1面(南倉1)

また本年は、西方文化を受容したいかにも正倉院らしい宝物も多数出陳されます。

例えば聖武天皇のご遺愛品の一つである羊木臈纈屏風は、巻角の羊や樹下に動物を表す構図に、ササン朝ペルシアの影響が指摘されますが、下端に記された奈良時代の年号から、地方より税として納められた絹を用いた国産品であると考えられます。

一方、緑瑠璃十二曲長坏は、鉛ガラス製であることから、ペルシアの金銀器を模して唐で作られた可能性が指摘されています。遣唐使を通じてもたらされ、珍貴な品として東大寺の仏・菩薩に献納されたと考えられます。

緑瑠璃十二曲長坏(みどりるりのじゅうにきょくちょうはい)1口(中倉72)

こうした品々からは、シルクロードを通じて伝えられた各国の文化が、平城京へと流れ込んでいることが確かめられます。

羊木臈纈屏風(ひつじきろうけちのびょうぶ)1扇(北倉42)

このほか奈良時代の装いや社会生活を伝える宝物も出陳されますので、まるごと奈良時代を体感しに、秋の奈良へとお越しいただければ幸いです」

錦秋の奈良公園に立つ博物館で、日本が誇るいにしえの美術品をじっくりとご鑑賞ください。

【開催要項】
『第69回 正倉院展』
■会期:2017年10月28日(土)~11月13日(月)
■会場:奈良国立博物館 東新館・西新館
 奈良県奈良市登大路町50 奈良公園内
■電話番号:050-5542-8600(ハローダイヤル)
開館時間:9時から18時まで、金・土・日・祝日は20時まで(入館は閉館30分前まで)
■休館日:会期中無休
※博物館公式サイト http://www.narahaku.go.jp
※正倉院展特設サイト http://www.yomiuri.co.jp/shosoin 

取材・文/池田充枝

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