1880年代末のパリ、ゴーガンの美学から影響を受けて自らを新たな美の「ナビ(ヘブライ語で“預言者”の意味)」と称した前衛的な若き芸術家グループの「ナビ派」は、近年国際的に評価が高まっています。
今やパリ・オルセー美術館のコレクションの大きな柱ともなっているナビ派の傑作群を紹介する展覧会が、東京・丸の内の三菱一号館美術館で開かれています。(~5月21日まで)
本展は、ナビ派研究の第一人者であるオルセー美術館・オランジュリー美術館総裁のギ・コジュヴァル氏の総監修のもと、ナビ派のコレクションを誇るオルセー美術館から厳選した約80点を展観し、その全貌に迫ります。
本展の見どころを、三菱一号館美術館の広報担当、後藤友紀子さんにうかがいました。
「オルセー美術館のナビ派コレクションは、印象派、ポスト印象派と並ぶオルセー美術館の大きな柱となるものです。昨年アメリカの実業家からナビ派の名品を含む187点の作品の寄贈も決まり、今後更にオルセー美術館のナビ派コレクションは充実したものになることが予想されます。
本展は、国際的に評価の高まるナビ派の全体像を日本で初めて本格的にご紹介する大変貴重な機会となります。
ナビ派の特徴として、平面性(フラットな色の面による構成や奥行きの排除)と装飾性(意匠化や曲線の多用など)があげられますが、ここには浮世絵などの日本美術が大きな影響を与えたことが見うけられます。
もう一つの特徴は、日常的な主題と神秘的な主題の両面性です。ボナールやヴュイヤールたちは室内や公園、子どもなど身近なものを取り上げましたが、ランソンやセリュジエたちは夢や眠り、宗教などの精神的なものを取り上げました。
これまであまり知られてこなかったこうしたナビ派の魅力と全貌を会場でご堪能ください」
20世紀美術を予兆する、日常の中のかすかなささやきとざわめきが聴こえる展覧会です。ぜひ足をお運びください。
【オルセーのナビ派展:美の預言者たち-ささやきとざわめき】
■会期/2017年2月4日(土)~5月21日(日)
■会場/三菱一号館美術館
■住所/東京都千代田区丸の内2-6-2
■電話番号/03・5777・8600(ハローダイヤル)
■料金/一般1700円 高校生・大学生1000円 小学生・中学生500円
■開館時間/10時から18時まで、祝日を除く金曜日・第2水曜日・会期最終週の平日は20時まで(入館は閉館30分前まで)
■休館日/月曜日(ただし3月20日、5月1日、5月15日は開館)
■アクセス/JR東京駅丸の内南口より徒歩約5分、JR有楽町駅国際フォーラム口より徒歩約6分、東京メトロ千代田線二重橋前駅1番出口・都営三田線日比谷駅B7出口より徒歩約3分、東京メトロ丸ノ内線東京駅(地下地下道直結)より徒歩約6分、東京メトロ有楽町線有楽町駅D3/D5出口より徒歩約6分
■展覧会公式サイト/http://mimt.jp/nabis
取材・文/池田充枝
1989年「サライ」