平賀源内に悲劇が襲う
I:さて、前週にも触れましたが、平賀源内(演・安田顕)のエレキテルが再び登場しました。今週は稲(演・水野美紀)がエレキテルについて文句をいっていたのが印象的です。
A:当時の源内が、エレキテルは病気に効くということを喧伝していたといいますし、わりと信じられていたようですよ。昨年の『光る君へ』でも呪詛が信じられていた描写がありましたから、時代時代でそういうことはありますよね。
I:エレキテルと呪詛は同格ではないような気もしますが、現代でも、つい数十年前まで、「練習中は水を飲んではいけない」というスポーツ信仰がありましたからね。
A:源内のエレキテルが「失速」したのは、弥七(演・片桐仁)がまがいものを流通させたせいです。きっと、弥七が満足に食えるような給金を得ていなかったのではないかと推察します。源内がそうした管理まで手が回らなかったということなのかもしれません。まがいものが出てしまうのは源内とってとんだアクシデントになりました。
I:多才で有名だった源内ですが、裕福だったとは思えないですからね。この弥七のエピソードもほぼ史実なんですよね。これまで曲りなりにも回っていた源内の世渡り術の歯車が狂い始めるきっかけとなる「事件」です。
A:源内って、なんだか、人生に忙殺されていたというか、追い立てられていたというか、せわしなく生きていた感じがします。それをうまい具合に演出しているのが、安田顕さんのせりふ回しですよね。
I:あ、そういえばいつも早口! 確かに生き急いでいる感じが出ていますね。

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