式部と道長の和歌のやり取り
I:『紫式部日記』には、若宮様の祝いの席で藤式部が求められて和歌を詠み、道長が歌で返したことが書かれていますが、ドラマの中では月を眺めながらひとり若宮様を祝う歌を口ずさむ藤式部のもとへ、道長がやってきて、ひっそりと一緒に同じ月の下で喜びを分かち合うというシーンになっていました。
いかにいかが数えやるべき八十歳の あまり久しき君が御代をば
(大意:皇子様の御誕生をお祝いする宴の席の杯は栄月そのもので、下に下ろされることなく次々と手から手へと捧げ持ちながら回されていきます。その様は、望月と同じように欠ける事がなく、皇子の栄光も永遠に続いていくことでしょう)
A:平安時代の宴席でのマナーがどういったものかはっきりとはわかりませんが、貴族の方々はみんな、即興で和歌を作ることができたんですかね。ドラマの中では道長が藤式部の歌を知っていたから、すぐに返歌を歌うことができたわけですが、これが阿吽の呼吸のようだと噂されます。この時の道長の返歌がこれです。
あしたずのよはひしあれば君が代の 千歳の数も数え取りてむ
(大意:私に鶴のような千年もの寿命があるなら、千年も続くであろう皇子様の御代の年の数も数えられるだろう)
I:察しのいい倫子(演・黒木華)が、すぐに不快な顔をして退出してしまいましたね。
A:藤式部は、赤染衛門(演・凰稀かなめ)から「左大臣様とあなたはどういう関係なの?」と直球な質問を投げかけられてしまいました。これから何やらひと悶着ありそうな気配です。いったい藤式部はどう回答するのでしょうか。
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