藤式部と呼ばれるようになったまひろ(演・吉高由里子)。背景には藤壺の藤の花。(C)NHK

編集者A(以下A):『光る君へ』第33回では、ついにまひろ(演・吉高由里子)が中宮彰子(演・見上愛)が住まう藤壺(飛香舎)で女房らと対面します。

ライターI(以下I):ドキドキしましたね。完全アウェーかと思いきや、見知った赤染衛門(演・凰稀かなめ)の姿を見た時は、ほっとしただろうなと想像しました。髪型も、今までの束ね髪ではなく、女房らしい垂髪になって、赤の唐衣に紫がかった返襟の装束になった藤式部、様になっていましたね。

A:前週も説明しましたが、再度どういった面々がいたのか説明しましょう。いちばん前にいた「宮の宣旨」(源陟子=ただこ/演・小林きな子)は、醍醐天皇のひ孫。「大納言の君」(源廉子/演・真下玲奈)と「小少将の君」(源時子/演・福井夏)は、道長(演・柄本佑)の正妻倫子(演・黒木華)の姪にあたる人物。「宰相の君」(藤原豊子/演・瀬戸さおり)は道長の異母兄で大納言道綱(演・上地雄輔)の娘、さらに道長の二妻源明子の姪にあたる「馬中将の君」(劇中では藤原節子/演・羽惟)、「左衛門の内侍」(橘隆子/演・菅野莉央)など、高貴な女性たちが居並びます。

左上「宮の宣旨」(源陟子=ただこ/演・小林きな子)、左下「宰相の君」(藤原豊子/演・瀬戸さおり)、中上「馬中将の君」(藤原節子/演・羽惟)、「左衛門の内侍」(橘隆子/演・菅野莉央)、「大納言の君」(源廉子/演・真下玲奈)、「小少将の君」(源時子/演・福井夏)。(C)NHK

I:清少納言(演・ファーストサマーウイカ)が中宮定子(演・高畑充希)のもとに出仕した際には鋲(びょう)を踏んでしまうという「いじめ」のような目に遭いましたが、まひろには、そんなことは起こりませんでしたね。あと、宮の宣旨の口から「女房の仕事」について説明がなされて、女房って何? 奥さんとは違うの? という現代人の疑問にも応えてくれていました。

A:女房らとの交流については『紫式部日記』に記述されています。そうしたエピソードが今後描かれるのかどうかが注目ですよね。さて、この藤壺での場面ですが、私は大河ドラマ史上で画期的なシーンではないかと思っています。

I:画期的なシーン? いったいどのシーンでしょうか。

A:劇中で道長から「局(つぼね)を与えたのに」という台詞があったように、まひろは、藤壺に局を与えられたと説明されていました。小説や書籍などで局といわれてもなかなかイメージがわかなかったりするのですが、今回、局の様子が可視化されました!

I:いびきを響かせる女房、寝言をいう女房などリアルな生活感が演出されていましたが、上からその「間取り」がわかりやすく描かれていましたね。

A:「藤壺の局ってこうなってるんだー」とわくわくしながら見た方は多かったのではないでしょうか。もちろん当時の間取りなどの史料はほとんど残っていないのですが、そこは緻密な考証で定評のある美術スタッフの方々ですから、現段階でわかりうる最新の成果が表れた場面だと思います。

I:こういう風に可視化されるというのはありがたいです。教科書なんかでも寝殿造とか書院造とか建築史の記述があったりするのですが、なかなか脳内で変換されません(笑)。『光る君へ』では寝殿造が頻繫に登場するから、「あ、これが寝殿造なんだ」とすっと頭に入ってきますね。

A:そういう意味で興味深かったのは、藤原斉信(演・金田哲)の「室礼(しつらい)、座次、その他一切ぬかりなきように支度せよ」という台詞です。「室礼」とは、調度品、装飾など儀式の場を整えることで、今でも使われる「しつらえる」という言葉と関連しますからね。

I:そういえば、寝殿造では畳が一部にしか使われませんが、後年の書院造になると畳が部屋の全面に敷かれるようになりますね。脱線しますが、女房たちのシーンになると鳩の鳴き声がBGMみたいになっていて、どこかコミカルで面白かったです。

平安時代の女房たちの日常が描かれる。(C)NHK

まひろの鈍感力がたまらない。次ページに続きます

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