左利きの吉高さんが右手で習う書道
A:最後に、まひろが漢詩を書写する場面が登場しました。有名な白居易(白楽天)の『長恨歌』です。「漢皇色を重んじて傾国を思ふ。御宇多年求むれども得ず」で始まる長い長い漢詩になります。
I:道長といろいろあった直後に『長恨歌』、なんですよね。紫式部の『源氏物語』第一帖「桐壺」には、『長恨歌』の影響を受けた描写が多いといわれていますから、なんだか意味深ですね。
A:唐の玄宗皇帝と楊貴妃のお話ですから、紫式部らにとって、興味ある話題だったのではないでしょうか。
I:ちなみに劇中、まひろが実際に筆をとっているような場面が描かれました。吉高由里子さんは、『光る君へ』の題字を書かれてなおかつ、書道指導担当も務める根本知さんから直々に指導を受けて研鑽に励んでいるそうです。前週に柄本佑さんの所作が凄いということに触れましたが、吉高由里子さんも凄いのです。
A:CMで左利きでボールを投げるものがあるのでご存知の方も多いと思いますが、吉高さんは左利きです。日本人は古来、右利きが基本で、左利きはしつけで直されていたんですよね。だから吉高さんも今回は右利きのように筆をとって墨書していて、たいしたものだなと思います。
I:大河ドラマだと殺陣の稽古とかよく聞きますが、今回のドラマは今までの大河とはまた違った見所が多いんですよね。そこがおもしろくてつい見入ってしまいます。
●編集者A:月刊『サライ』元編集者(現・書籍編集)。「藤原一族の陰謀史」などが収録された『ビジュアル版 逆説の日本史2 古代編 下』などを編集。古代史大河ドラマを渇望する立場から『光る君へ』に伴走する。
●ライターI:文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。『サライ』2024年2月号の紫式部特集の取材・執筆も担当。お菓子の歴史にも詳しい。『光る君へ』の題字を手掛けている根本知さんの仮名文字教室に通っている。猫が好き。
構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり