令和の即位後の大嘗祭でも舞われた「五節舞」

本格的に再現された五節舞。(C)NHK

I:さて、ここからが第4話のメインになります。新帝即位最初の新嘗祭は大嘗祭になりますが、その際の饗宴が豊明節会(とよあかりのせちえ)。当時は、国栖奏、久米舞、古志舞、五節舞が舞われました。雅楽では通常男性が舞うのですが、五節舞は女性が舞うもので、劇中では源倫子の代わりにまひろが舞うことになりました。

A:このシーンのロケは岩手県奥州市の「えさし 藤原の郷」で行なわれたそうです。美しくて厳粛で雅なシーンになりました。歴史の大河は1000年の昔から脈々と絶えることなく流れているのですが、令和の即位に伴う大嘗祭の後の大饗の儀でも五節舞が舞われ、三権の長と新穀の生産者たちが参加して陛下とともにこの舞を観覧しています。

I:室町時代から大正時代まで一度途絶えたそうですが、ドラマでまひろが舞った歌舞が、1000年後の令和でも舞われているというのは、我が国の悠久の歴史を感じることができますね。ちょっと感慨深いです。

A:現在の大嘗祭後の饗宴の儀では五節舞と久米舞が舞われていますが、久米舞は現存する最古の歌舞のひとつです。土蜘蛛など敵を斬る所作が取り入れられた舞で、大和王権に服従した古代久米一族が、服従の証として舞ったと言われています。『古事記』『日本書紀』にある神武天皇の東征の際、従者の戦闘集団、久米部が歌った勇ましい久米歌に舞をつけたものだそうです。

I:なんだか、ラグビーのニュージーランドのハカを思い出してしまいました。

A:全然違う見た目ですが、古代にはそういうノリだったかもしれませんね。古志舞は今は受け継がれていませんが、国栖奏は今も毎年旧暦1月14日に奈良県にある浄見原神社で奉納される舞ですね。

I:饗宴の儀は特別な方々しか見られませんが、神社などでは今も雅楽や舞楽が披露されることがありますから、興味のある人は調べてみるといいかもしれませんね。

五節舞を舞うまひろは、道長(演・柄本佑)と並んで座る母の仇・道兼(演・玉置玲央)の姿を見る。(C)NHK

●編集者A:月刊『サライ』元編集者(現・書籍編集)。「藤原一族の陰謀史」などが収録された『ビジュアル版 逆説の日本史2 古代編 下』などを編集。古代史大河ドラマを渇望する立場から『光る君へ』に伴走する。

●ライターI:文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。『サライ』2024年2月号の紫式部特集の取材・執筆も担当。お菓子の歴史にも詳しい。『光る君へ』の題字を手掛けている根本知さんの仮名文字教室に通っている。猫が好き。

構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり

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