わが国最古の物語『竹取物語』
I:そうした中で、ほっとさせられたのが源倫子を囲む「セレブ女子会」の場面。盗賊の話題も出ましたが、まひろは相変わらず場の空気を読まずに言いたいことを言っていました。
A:今週は『竹取物語』について語り合うという流れになりました。
I:『竹取物語』は、現存する中でもっとも古い物語だといわれている書物ですね。「野山にまじりて竹をとりつつ よろずのことに使いけり」……。奈良県の広陵町には讃岐神社があり、物語ゆかりの地といわれているように、物語の舞台は奈良時代(飛鳥時代)。かぐや姫に言い寄る5人の男性は、持統天皇から文武天皇の時代にかけて実在した人物がモデルといわれています。
A:赤染衛門(演・凰稀かなめ)の質問にまひろが「かぐや姫の考えはまことにさっそうとしていると思います」と、またもや皆を困惑させていました(笑)。『竹取物語』については『源氏物語』にもその存在が触れられていますから、劇中の時代には実際に同じようなやりとりがあったのかもしれないですね。
「左大臣家に猫」の描写
I:さて、今週は猫好きの方々がほっこりする場面が挿入されていました。平安時代の宮廷では猫が大切に育てられていたことが知られていますが、赤い紐の首輪をしたキジシロの猫を源倫子が抱いている場面が登場しました。宇多天皇や今後登場してくる一条天皇などが猫好きだったことが知られていますし、『源氏物語』にももちろん猫の描写があります。
A:大河ドラマに猫が登場するのは、『麒麟がくる』(2020年)第20回で今川義元が猫を抱いていた場面以来。あの時も猫好きの間では「かわいい」と話題になりました。さらに昨年の『どうする家康』でも千姫が豊臣秀頼の前で猫の絵を描くシーンが挿入されていました。
I:今回倫子に抱かれた猫は赤い紐を巻いていましたが、平安時代末期の絵巻物で、日本で最古の猫の絵といわれる『信貴山縁起絵巻』に描かれた猫も赤い首紐をつけていますし、鎌倉時代の『石山寺縁起絵巻』に描かれた猫も赤い紐で繋がれています。降って江戸時代に流行った鼠除けの絵の猫もだいたい赤い紐を首に巻いています。
A:井伊家ゆかりの豪徳寺の招き猫も赤い首輪ですし、サザエさんちのタマも赤い首輪。そして22世紀の猫型ロボット、ドラえもんも赤い首輪ですから、「猫と赤」は時空を越えたつながりがあるのですね。さっそくうちの猫に赤いリボンをつけて写真を撮ってしまいましたよ。
I:赤は魔除けともいいますから、子供を守る感覚で赤い色のものをつけたのかもしれないですね。実は次週も倫子のキジシロ猫は登場するようですよ。なんでもその名が明かされるとか。なんだか楽しみですね。
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