五月雨の降り残してや光堂 

俳聖、松尾芭蕉が「奥の細道」の旅の途上で詠んだ句です。降りやまない五月雨のなか、そこだけが雨をよせつけず光を放ってたたずむ金色堂を、十七文字で言い表した名句です。

中尊寺は、平安時代後期、奥州平泉を拠点に東北地方一帯に勢力を誇った奥州藤原氏の初代、藤原清衡が建立し、以後4代100年にわたって栄華を示すシンボルでした。しかし、そのほぼすべてが動乱や災害で失われ、境内の諸堂の多くが江戸時代に再建・移築されたもの。そのなかで、唯一往時の姿をとどめているのが金色堂です。

中尊寺金色堂覆堂・夏風景
金色堂の美しさをたもつために堂宇全体を覆堂(おおいどう)と呼ばれる建物で覆っている。

東京国立博物館で開催の「建立900年 特別展 『中尊寺金色堂』」は東京で中尊寺の宝物をご覧いただける展覧会です。(1月23日~4月14日)

本展の見どころを、東京国立博物館東洋室の主任研究員、児島大輔さんにうかがいました。

「東京国立博物館では、中尊寺金色堂の建立900年を記念した特別展を開催いたします。金色堂内には三基の須弥壇(しゅみだん)が設けられ、それぞれ11体の仏像が安置されます。本展では、このうち初代藤原清衡(ふじわらのきよひら)の眠る中央壇上の国宝仏像11体すべてを、はじめて寺外でそろって公開します。

阿弥陀三尊像(左から:国宝 勢至菩薩立像、国宝 阿弥陀如来坐像、国宝 観音菩薩立像)
平安時代・12世紀 岩手・中尊寺金色院蔵
中尊寺金色堂(中央壇・部分)

阿弥陀三尊像は円満な表情と穏やかな表現が特徴で、平安時代後期を代表する平等院鳳凰堂の阿弥陀如来坐像を彷彿とさせます。すぐれた作行と堅牢な構造は京(みやこ)の仏師が手掛けたものとみて間違いありません。

二天像(左:国宝 増長天立像、右:国宝 持国天立像)平安時代・12世紀 岩手・中尊寺金色院蔵

六地蔵と二天像は二代基衡(もとひら)のために造像され、のちに中央壇に移されたと考えられます。特に二天像の激しい動勢と、それに伴って有機的に翻る袖の動きは当時の都にも見られない新しい表現です。平泉の文化は決して中央の文化を模倣するだけではありませんでした。

8KCG映像パースイメージ  (C)NHK

また、会場では高精細CGによって金色堂を原寸大で再現いたします。現地を訪れる体験とは異なる没入感を体感できる貴重な機会です」

平泉の至宝が公開される歴史的な展覧会。会場でぜひその荘厳さを体感してください。

【開催要項】
建立900年 特別展 『中尊寺金色堂』
会期:2024年1月23日(火)~4月14日(日)
会場:東京国立博物館 本館 特別5室
住所:東京都台東区上野公園13-9
電話:050・5541・8600(ハローダイヤル)
展覧会公式サイト:https://chusonji2024.jp/
開館時間:9時30分~17時(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(ただし2月12日、3月25日は開館)、2月13日(火)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照

取材・文/池田充枝

 


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