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平安時代、宮廷を中心として貴族文化が爛熟し、和様の美の規範が生まれました。

なかでも平安後期には宮廷貴族たちの優雅な生活環境を背景に、純日本的な意匠の蒔絵調度が完成をみせます。国宝「源氏物語絵巻」にも蒔絵の調度が描かれています。

『大蒔絵展―漆と金の千年物語』は、蒔絵芸術を概観する大規模な展覧会です。(4月15日から5月28日まで 於:徳川美術館)

国宝 初音蒔絵硯箱 江戸時代・1639年 徳川美術館蔵 通期展示

本展の見どころを、徳川美術館の学芸部部長代理、吉川美穂さんにうかがいました。

「漆で絵を描き、金粉や銀粉を蒔きつけて文様をあらわす「蒔絵」は、日本文化において長きにわたり理想美の象徴となっています。本展覧会は、MOA美術館、三井記念美術館、徳川美術館の私立美術館三館が共同で開催し、平安時代から現代の漆芸家作品にいたるまで、三会場で国宝25件、重要文化財50件を含む計188件を展観し、蒔絵の全貌に迫ります。

国宝 舟橋蒔絵硯箱 伝本阿弥光悦作 江戸時代・17世紀
東京国立博物館蔵 前期展示:4月15日~5月7日 Image:TNM Image Archives 
国宝 籬菊螺鈿蒔絵硯箱 鎌倉時代・13世紀 鶴岡八幡宮蔵
前期展示:4月15日~5月7日

最後の会場となる徳川美術館では、国宝14件、重要文化財24件を含む約120件を展示します。平安時代の国宝「仏功徳蒔絵経箱」(藤田美術館蔵)をはじめ、鎌倉時代から桃山時代の蒔絵の名品、江戸時代の婚礼調度や琳派様式の蒔絵、江戸時代から近代に活躍した名工による作品など、各時代を代表する名品に、現代の人間国宝を加えた選りすぐりの蒔絵をご紹介します。

重文 秋草蒔絵歌書簞笥 桃山時代・16世紀 高台寺蔵 後期展示:5月9日~28日

さらに国宝「源氏物語絵巻」(徳川美術館蔵)をはじめとした物語絵巻や屛風、書跡なども併せて展観し、日本人が追求した美の系譜をたどります」

国宝 源氏物語絵巻 宿木(一) 平安時代・12世紀 徳川美術館蔵
展示:4月27日~5月7日

平安時代から現代まで、日本の蒔絵の歴史が一望できる展覧会です。ぜひ会場に足をお運びください。

【開催要項】
大蒔絵展―漆と金の千年物語
会期:2023年4月15日(土)~5月28日(日)※会期中展示替えあり
会場:徳川美術館
住所:名古屋市東区徳川町1017
電話:052・935・6262
展覧会公式サイト:https://maki-e.exhibit.jp
美術館公式サイト:https://www.tokugawa-art-museum.jp
開館時間:10時から17時まで(入館は16時30分まで)
休館日:月曜日 ※GWの5月2日(火)~7日(日)は休まず開館
料金:美術館公式サイト参照
アクセス:美術館公式サイト参照

取材・文/池田充枝

 

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