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インドは古くから綿の国でした。独特の風合いと感触の「インド綿」は現代でも根強い人気のテキスタイルです。インド綿に限らず、現代ではどこにでもある綿の製品ですが、17世紀以前はインド以外で木綿を染色することは大変難しいといわれていました。

大倉集古館で開催の「特別展 畠中光享コレクション 恋し、こがれたインドの染織―世界にはばたいた布たち―」はインド布やインド綿の染色技術が世界に展開した様子を知ることができる展覧会です。(8月8日~10月22日)

《掛布》(部分) コロマンデール・コースト(インド)
18世紀後期 畠中光享氏所蔵

本展の見どころを、大倉集古館の副主任学芸員、四宮美帆子さんにうかがいました。

「日本画家であり、インド美術研究者でもある畠中光享(はたなか・こうきょう)氏の染織品コレクションを取り上げ、インドの布が世界でどのように変化を遂げたかを辿る展覧会を開催いたします。

《竹花樹鳥獣文ベッドカバー》(部分)コロマンデール・コースト(インド)
18世紀後期~19世紀初期 畠中光享氏所蔵

17世紀のヨーロッパでは、木綿に美しい色を染める技術がありませんでした。インドから伝わった布は大変美しく、洗っても色落ちしないため評判となり、輸入制限がかかるほどでした。後に模倣された布が市場にでまわることになります。ウイリアム・モリスの柄や、リバティプリント、現代のエトロの柄はインドの布をもとにして生まれたものです。

《倣カシミールショール》(部分) フランス 19世紀中期 畠中光享氏所蔵
《布地》(部分) ラジャスタン州、サンガネール(インド)19世紀前期 畠中光享氏所蔵

展示では、インドからヨーロッパに伝わった布、インドからペルシャやアジア圏に伝わった布、インドの中で独自に発達した布など、伝播先ごとに展示をいたします。一見同じような柄にみえる布たちですが、地域によって模倣の仕方は様々、またその技法も様々です。

《礼拝用敷布》(部分)
アンドラ・プラデッシュ州、マスリパタム(インド)19世紀末
畠中光享氏所蔵

1階の一部と地下1階では露出展示を行います。デザインだけではなく、布の風合いなどもお愉しみいただけます。

日本では、インドからインドネシアに渡った捺染布である「更紗」が有名ですが、更紗だけではないインド布の奥深さを是非ご堪能ください。」

《儀礼用布》(部分) グジャラート州(インド)18世紀後期 畠中光享氏所蔵

約100点の色とりどり布たちが会場を美しく彩ります。会場でじっくりご鑑賞ください。

【開催要項】
特別展 畠中光享コレクション 恋し、こがれたインドの染織―世界にはばたいた布たち―
会期:前期8月8日(火)~9月10日(日)
   後期9月12日(火)~10月22日(日)
会場:大倉集古館
住所:東京都港区虎ノ門2-10-3(オークラ東京前)
電話:03・5575・5711
公式サイト:https://www.shukokan.org/
開館時間:10時から17時まで(入館は16時30分まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は開館し、翌火曜日休館)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照

取材・文/池田充枝

 

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