本物の線路の上で、自らの手で蒸気機関車を動かす。乗車して鉄道史が体感できるとっておきの場所を案内。

三笠鉄道村の三笠鉄道記念館では、本物の蒸気機関車を運転体験する「SL機関士体験クラブ」を開設。要件は18歳以上で自力で機関車に乗り降りできること。事前申し込みが必要。期間は10月16日までの土曜・日曜、祝休日。来年度の期間は要問い合わせ。
料金:初回登録料(帽子代込み)1万5000円、運転体験料1〜10回目7000円、11〜30回目6000円、31〜50回目5000円、51回目以上4000円。
初めての運転体験では、実技運転を解説した約30分の映像を見る。乗車後、指導してくれる機関士の運転(1往復)を間近で見学する。

三笠鉄道村は、明治15年(1882)に開業した官営幌内鉄道の終点・幌内駅の跡地で、炭鉱と蒸気機関車の歴史を次世代に伝える施設である。機関士の指導の下、出発から停止まで、蒸気機関車を自分の手で本格的に動かすことができるのは、全国でもここだけ。かつて、炭鉱から石炭を運び出す拠点となった歴史的な場所で、実際に運転を体験してみた。

「生き物に近い」と体感

梯子を登り運転室へ入った瞬間、サウナのような熱気が襲ってくる。たくさん並ぶレバーや配管を前にすると、事前に受けた学科講習の内容がすっかり頭から飛んでしまった。指導する河原井光則機関士の「はい、やってみて」の声に、ブレーキ圧力を確認し、周囲の安全を確認。いよいよ自分で運転する。

機関士の制服は貸与。S-304号機は昭和14年にC12形を元に工場構内の入れ替え用として作られた機関車。前進後進が容易。

「逆転機を手前に引いて」「ブレーキ緩めて、加減弁を下げて」「はい、ここでドレーン切って(シリンダーに溜まった水を排水すること)」河原井さんから矢継ぎ早に指示が飛ぶ。指示通りに作業するので精一杯だ。450mほど進んでゆっくり停車すると、バック運転で戻る。

操作自体は、マニュアルの自動車の運転に近い。ギア(逆転機)を入れてブレーキペダルから足を離し(ブレーキ弁の解放)、アクセルを踏めば(加減弁の操作)機関車は動きだす。もっとも、マニュアル車以上に生き物に近い。散歩に行きたくて走り出しそうな犬を手綱で押さえているような感覚がある。

運転室の床には1日で使う量の石炭が山積み。C62も運転した元国鉄のベテラン機関士・南勝利さんによる投炭の様子を見守る。

官営幌内鉄道は、後に国鉄幌内線となり沿線から石炭を運び日本のエネルギー需要を支え続けた。だが、石炭産業の斜陽化にともない、昭和62年(1987)、岩見沢〜三笠〜幌内間と三笠〜幾春別間が廃止、2年後、幌内炭鉱も閉山された。三笠鉄道村で指導する機関士は元国鉄マンが多く、SL華やかなりし頃の話を聞くため、毎年訪れる常連もいるという。

札幌市電の前身で、本物の馬が牽く馬車鉄道に乗車体験できる『北海道開拓の村』(札幌市)もあわせて訪ねたい。

運転体験を51回以上すると憧れの「機関士」の腕章が授与される(写真は指導員のもの)。
帽子と軍手は初回登録した際にもらえる。
クロフォード公園からエンジン付きのトロッコで旧幌内線の約2.5㎞を往復する「三笠トロッコ鉄道」(※三笠トロッコ鉄道 電話:01267・2・2255 営業時間、定休日、料金など詳細はウェブサイトを参照 http://www.mt-railway.jp)も楽しい。要普通免許。
三笠鉄道村は幌内駅跡の三笠鉄道記念館と、約3km離れた三笠駅跡のクロフォード公園からなる。官営幌内鉄道は幌内炭鉱と手宮を結んでいた。

三笠鉄道記念館

北海道三笠市幌内町2丁目287 電話:01267・3・1123 
営業時間:9時〜17時
定休日:月曜(祝日の場合は翌平日)、10月16日〜4月15日は冬期休館
料金:530円
交通:JR函館本線岩見沢駅から中央バス幾春別町行きに乗車、「三笠市民会館」下車、三笠市
営バス幌内線に乗り換え「鉄道記念館」下車。

本物の馬が牽く馬車鉄道で札幌市電の前身を体感する

北海道開拓の村

旧開拓使札幌本庁舎と馬車鉄道。冬以外は毎日運行。料金250円。

北海道札幌市厚別区厚別町小野幌50-1
電話:011・898・2692
営業時間:9時〜16時30分(5月〜9月は9時〜17時)、入場は閉場の30分前まで休日:月曜(祝日の場合は翌平日、ただし、さっぽろ雪まつり期間の月曜は開村)、12月29日〜1月3日
料金::800円
交通:JR千歳線新札幌駅よりバスで「開拓の村」下車すぐ

取材・文/西村海香 撮影/杉崎行恭(※杉崎の「崎」は正しくは「たつさき」)

『サライ』11月号の特集は「鉄道150年を旅する」。北海道から九州まで、心躍る車窓の絶景を紹介します。

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※この記事は『サライ』本誌2022年11月号より転載しました。

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