『新橋横浜間鉄道之図』明治初期
旧新橋停車場
日本の鉄道の歴史は、明治5年9月12日(新暦の10月14日)、新橋~横浜間にイギリスから輸入された蒸気機関車が走ったことで幕を開けた。鉄道発祥の地である新橋停車場は、現在の新橋駅の烏森口から350mほど東側にあった。
「新橋停車場は大正3年の中央停車場(現在の東京駅)の開業まで、西へ向かう鉄道の起点でした」と話すのは、港区立郷土歴史館の学芸員・小緑一平さん(39歳)だ。
新橋停車場の跡地には、米国人技師のリチャード・ブリジェンス(1819~91)が設計した駅舎が「旧新橋停車場」として復元されている。館内では開業当時の礎石の遺構を見学できる。
新橋~横浜間の鉄道は、江戸時代に人々が往来した東海道に並行して建設された。小緑さんが言う。
「江戸時代は新橋~横浜間約29kmを休まずに歩いても7~8時間かかりました。ところが、鉄道なら約53分。日帰り圏内になったのは、画期的なことでした」
国道15号(第一京浜)に沿って南下し、田町駅を過ぎると、江戸の玄関口・高輪大木の巨大な石垣道路脇に現れる。高輪大木戸跡を過ぎると品川駅も近い。
高輪大木戸跡
品川駅創業記念碑
発展が見込まれる品川駅
日本最古の駅のひとつである品川駅は、今後は目まぐるしい変化が予想されると、小緑さんが言う。
「東京メトロ南北線の延伸やリニア中央新幹線の開業予定があります。品川駅がリニアのターミナルになる点に運命を感じますね」
『東京汐留鉄道御開業祭礼図』
特別展「鉄道開業150周年記念 人物でみる日本の鉄道開業」を開催
港区立郷土歴史館
10月14日(金)~12月18日(日)に特別展「鉄道開業150周年記念 人物でみる日本の鉄道開業」を開催。日本の鉄道の黎明期を、浮世絵などの歴史資料や、線路跡から出土した遺物を展示して解説する。
観覧料400円、常設展とのセット券600円。
東京都港区白金台4-6-2 ゆかしの杜内
電話:03・6450・2107
開館時間:9時~17時(入館は16時30分まで)。土曜は9時~20時(入館は19時30分まで)
休館日:第3木曜(祝日の場合は前日)、12月29日~1月3日、特別整理期間
入館料:300円(常設展)
交通:東京メトロ南北線・都営地下鉄三田線白金台駅から徒歩約1分
取材・文/山内貴範 撮影/宮地 工 地図/シーマップ
※この記事は『サライ』本誌2022年11月号より転載しました。