門司鉄道局管内 線路案内図 昭和3年(1928)
令和4年(2022)9月23日、西九州新幹線が武雄温泉駅〜長崎駅間で開業、福岡・佐賀方面と長崎を結んだ。武雄温泉駅〜諫早(いさはや)駅間ではスピードを出せるよう、並行する長崎本線(鳥栖駅〜長崎駅間)と比べると直線的に線路が敷かれた。この区間は、昭和から平成にかけて東京駅から長崎駅を目指した名列車、寝台特急「さくら」も走った。西九州新幹線開業のこの機に、長崎への鉄道の歴史を新旧の地図で振り返る。
有明海沿いに短絡線を敷設
福岡・佐賀方面から長崎への鉄道は、明治22年(1889)に開業した現在の鹿児島本線が、熊本駅まで延伸した明治24年(1891)に端を発する。途中の鳥栖駅(佐賀県)から分岐し、大村湾沿いを経由する旧ルートで長崎本線が全通するのは、明治31年(1898)のこと。旧ルートは、人口の多い佐世保市や大村市など長崎県内の主要都市を結んだため長崎駅までは大回りとなり、時間を要した。
その後、昭和9年(1934)に、肥前山口(現・江北)駅から分岐し、有明海沿いを諫早駅に短絡する現行の長崎本線のルートが建設された。これにより、肥前山口駅から長崎駅までの距離が旧ルートよりも27kmほど短くなり、所要時間も1時間ほど縮まった。大村湾沿いを走る旧ルートの肥前山口駅〜早岐駅〜諫早駅間は、佐世保線、大村線となって今に至る。
また肥前山口駅は、寝台特急「さくら」が佐世保駅へ行く列車の切り離しと、佐世保駅から来る列車の併合が行なわれた駅だった。この駅は西九州新幹線の開業日に駅名を江北に改称した。
長崎駅への3番目のルートとなる西九州新幹線は、長崎本線の旧ルートと現行ルートの間に通じた。
文/遠藤則男 撮影/藤岡雅樹(小学館写真室)
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※この記事は『サライ』本誌2022年11月号より転載しました。