「言葉の天才」と呼ばれた永六輔さん。その「言葉」によって、仕事や人生が激変した著名人は数知れない。永さんと長く親交があったさだまさしさんと孫・永 拓実さんが、「人生の今、この瞬間を有意義に生きるヒント」をまとめた文庫『永六輔 大遺言』から、今を生きるヒントになる言葉をご紹介します。

文/永拓実

覚えている人がいる限り、故人は人の心の中で生き続ける

祖父が亡くなった翌月の「お別れの会」では、僕の母が、祖父の著書『永六輔のお話し供養』を朗読する一幕がありました。

〈僕がその人を忘れない限り、その人は存在していて消えることはない。僕たちは死者と共に生き、自分が死ねば誰かの心に記憶として宿る。でも、人は歳月の中で、亡くなった人のことを忘れがちです。だから、ときどき誰かと故人の思い出話をしたり、街角で出会ったりしましょうよ。それも供養のひとつだという気がします〉

祖父が、自分と親交のあった亡き友人たちについて書いたこの本ですが、今となっては祖父自身について言っているようにも読み取れます。
 
24年間ラジオで毎週共演したラジオパーソナリティのはぶ三太郎さんは、祖父のことを思い出してこう話しました。

「永さんは番組の中で、色即是空という言葉を、ドーナツの穴に喩えて話していた。あるようでない。ないようである、と。僕にとっても、周りの人にとっても、今の永さんはまさにそんな状況だと思います」

不思議なことですが僕自身、祖父が生きていたときより今のほうが、祖父について考えるようになりました。

こんなとき、祖父だったら何を思い、何を言うだろう。祖父はもういないはずなのに、はっきりと存在を感じることがあります。

祖父は、人間の死は二度あるとも書きました。

〈人の死は一度だけではありません。最初の死は、医学的に死亡診断書を書かれたとき。でも、死者を覚えている人がいる限り、その人の心の中で生き続けている。最後の死は、死者を覚えている人が誰もいなくなったとき。そう僕は思っています〉

自分の死についてだけでなく、他人の死とどう向き合うべきか。

身近な人が亡くなったとき、お葬式をして終わりではなく、折に触れて故人のことを思い出し、いつまでも心の中に生かし続けることが、祖父の言うように本当の供養なのだと思います。

永六輔の今を生きる言葉

忘れられない限り、その人の存在が消えることはない
大切な人を心の中で生かし続けよう

* * *

永六輔さんの7回忌の節目に、永さんの背中を追い続けてきたさだまさしさんと永拓実さんが『永六輔 大遺言』を刊行する。

『永六輔 大遺言』(さだまさし, 永拓実・著)
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さだまさし
長崎県長崎市生まれ。1972年にフォークデュオ「グレープ」を結成し、1973年デビュー。1976年ソロデビュー。「雨やどり」「秋桜」「関白宣言」「北の国から」など数々の国民的ヒットを生み出す。2001年、小説『精霊流し』を発表。以降も『解夏』『眉山』『かすてぃら』『風に立つライオン』『ちゃんぽん食べたかっ!』などを執筆し、多くがベストセラーとなり、映像化されている。2015年、「風に立つライオン基金」を設立し、被災地支援事業などを行なう。

永拓実(えい・たくみ)
1996年、東京都生まれ。祖父・永六輔の影響で創作や執筆活動に興味を持つようになる。東京大学在学中に、亡き祖父の足跡を一年掛けて辿り、『大遺言』を執筆。現在はクリエイターエージェント会社に勤務し、小説やマンガの編集・制作を担当している。国内外を一人旅するなどして地域文化に触れ、2016年、インドでの異文化体験をまとめた作品がJTB交流文化賞最優秀賞を受賞。母は元フジテレビアナウンサーの永麻理。

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